
【通信制高校への転校】5つのデメリットと対策|転校先の選び方も解説
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通信制高校への転校にデメリットはないの?
どんな通信制が転校先にふさわしいの?
こんな悩みを抱えていませんか。
もちろん通信制への転校にはメリットもあればデメリットもあります。しかし、デメリットを事前に把握すれば対策を立てることが可能です。
学院長 松下
本記事では、通信制に転校する5つのデメリットや後悔しない転校先の選び方をサイル学院高等部 学院長の松下が解説します。 また、通信制を転校先に選ぶ3つのメリットも紹介するので参考にしてください。 |
目次[非表示]
- 1.通信制高校に転校する5つのデメリットと対策
- 1.1.デメリット1. 自主学習・自己管理が必要
- 1.2.対策:サポート体制のある通信制を選ぶ
- 1.3.デメリット2. 生徒同士の交流が少ない
- 1.4.対策:交流の機会が多い通信制を選ぶ
- 1.4.1.通学日数を選べる通信制を選ぶ
- 1.4.2.自由参加のイベントや行事が多い通信制を選ぶ
- 1.5.デメリット3. 進学に不利と思われがち
- 1.6.対策:進学に強い通信制を選ぶ
- 1.6.1.進学コースのある通信制を選ぶ
- 1.6.2.指定校推薦のある通信制を選ぶ
- 1.7.デメリット4. 就職に不利と思われがち
- 1.8.対策:専門コースのある通信制を選ぶ
- 1.9.デメリット5. 今の高校で修得した単位を引き継げない可能性がある
- 1.10.対策:転校先に相談する
- 2.通信制高校に転校する3つのメリット
- 3.まとめ:通信制高校に転校するデメリットは解消できる
通信制高校に転校する5つのデメリットと対策
通信制高校への転校を成功させたいなら、マイナス面も含めて情報を集めましょう。
ここでは、通信制に転校するデメリットと対策を最初に解説します。
デメリット1. 自主学習・自己管理が必要
通信制高校は自宅学習(動画視聴・オンライン学習)とレポート提出による単位修得と、定められた日数のスクーリングを組み合わせて高卒資格を取得できる高校です。
通信制は自由度が高いですが、自主学習・自己管理ができなければ単位を修得できません。
自主学習が苦手な人にとっては、通信制の自由度はデメリットになります。
通信制では自分で時間割を作ります。自己管理できなければ、簡単に生活リズムが崩れてしまうでしょう。
特に公立の通信制は学習支援が少ないので私立よりも退学者が多いです。
通信制課程の年間退学者数(令和元年)
- 公立:4.946人(8.2%)
- 私立:7.623人(4.7%)
抜粋:文部科学省「学校基本調査」(令和元年)
レポート提出や通学ができず、通信制への転校後に中退・退学する人もいるのです。
対策:サポート体制のある通信制を選ぶ
高校卒業まで支援してくれる通信制高校を選ぶことが大切です。
通信制は登校日数が少ないので、ちょっとした疑問を先生に聞く機会が少ないです。
学習面での小さなつまずきが積み重なって、自主学習を挫折してしまうかもしれません。
しかし通信制の中には「担任制」を採用し、学習進度を見守ってくれる高校もあります。
学習支援のある通信制の例(八洲学園大学国際高校)
- 担任・副担任の徹底サポート(マンツーマン)
- 直通の携帯電話・LINE・メールで常時連絡が取れる
- 勉強内容、スクーリング参加時期、進路など何でも相談可能
- スクーリング参加時に自宅学習の習慣をつけるための「学習会」を計画
マンツーマン指導があれば、学習面での不安を解消できるでしょう。
転校先を選ぶ際には、各通信制が提供するサポート体制を確認することが大切です。
デメリット2. 生徒同士の交流が少ない
通信制は登校日数が少なく、特に公立は「週1日」「決まった曜日」に通学することが決まっている場合が多いです。
都立通信制の通学日数
- 年間20~24日
- 原則として土曜日
クラスがない通信制の場合、定期的に顔を合わせるクラスメイトがいないので人と接する機会が減ります。
部活動や委員会活動、修学旅行や文化祭などのイベントなど、交流機会が少ないことをデメリットだと感じる人もいるでしょう。
対策:交流の機会が多い通信制を選ぶ
他の生徒と交流したいなら、通学日数が増やせる通信制や行事が多い通信制を選ぶことがおすすめです。
通学日数を選べる通信制を選ぶ
私立の通信制高校は通学日数を選べる学校が多いです。
飛鳥未来高校(ベーシックスタイル) |
週1日~週5日 |
登校日を自由に決められる。 |
---|---|---|
中央高等学院(通信制サポートコース) |
週1日~週5日 |
午前10時からの授業で、自分のライフスタイルに合わせて登校日を選択できる。 |
ヒューマンキャンパス(専門コース) |
週3日~5日 |
高校卒業のための通学をしながら、専門科目を週3日ほど学ぶ。 |
柔軟に通学頻度を選べる通信制への転校を検討してみましょう。
通学日数を選べる通信制なら友達との交流の機会を増やせるので、転校がデメリットになることはありません。
自由参加のイベントや行事が多い通信制を選ぶ
学校祭や体育祭、宿泊学習・修学旅行などのイベントは友達を作る機会になります。
とはいえ、全日制ではイベントや行事が負担になっていた方もいるでしょう。
通信制高校では、イベントや行事は自由参加になっていることが多いです。
好きなイベントに参加すれば、共通の趣味や関心を持つ友達を作れるかもしれません。
行事が盛んな通信制の例(明星高校)
- 6月:海外研修(3年生)
- 7月:キャンプ研修(1.2年生)
- 8月:ロボットコンテスト
- 9月:明聖祭(学校祭)・球技大会
- 10月:体育祭
- 11月:秋季研修
- 12月:クリーンデー(地域清掃活動)
- 1月:合唱祭
- 2月:北海道研修(2年生)
全国から生徒を受け入れている通信制の場合、本校でのイベントに参加できない生徒も多いです。
そのため、オンラインでのイベントや部活動・サークル、生徒同士のチャットグループなど、ネット上での交流の機会を提供している通信制もあります。
また、全国各地に提携校やキャンパスがあり、勉強や交流のために在校生が自由に立ち寄れる場所を用意している通信制もあります。
自由参加のイベントや行事等を活用すれば生徒同士の交流機会を増やせるので、デメリットを解消できるでしょう。
デメリット3. 進学に不利と思われがち
大学進学を目指す人にとって、通信制高校への転校はデメリットだと思われるかもしれません。
確かに全日制と通信制を比較すると進学率には差があります。
全日制と通信制の大学進学率比較
- 通信制:19.5%
- 全日制:57.4%
抜粋:「令和3年度学校基本調査 卒業後の状況調査」文部科学省
通信制のカリキュラムは高卒資格を取得するための基本的な内容。大学進学には勉強量が不足している可能性があるのです。
また、教師に気軽に質問したり、クラスメイトと共に励ましあって勉強したりする環境が身近にないので、進学のモチベーションを保ちづらいと感じる方もいるかもしれません。
対策:進学に強い通信制を選ぶ
コースやカリキュラムの選び方によっては、通信制高校への転校が進学に不利になることはありません。
通信制への転校で、進学面でのデメリットを解消する2つの方法を解説します。
進学コースのある通信制を選ぶ
大学進学したい人におすすめなのは、進学コースのある通信制高校に転校することです。
予備校・進学塾との提携や独自の受験対策ノウハウ、受験指導のプロによる進学サポートなどを設けている通信制もあります。
駿台甲府高校 |
「駿台予備校」の大学受験対策を取り入れたカリキュラム |
---|---|
ワオ高校 |
全国展開する大手学習塾「能開センター個別指導Axis」と提携 |
一ツ葉高校 |
生徒一人ひとりに合わせた学習プランを持つ大学進学コース |
通信制から国公立大学(東大・京大・国公立医学部)や、難関私立大学(早稲田大・慶応義塾大他)へ現役合格している人もいます。
進学に力を入れている通信制に転校するなら進学面でのデメリットを解消できます。
指定校推薦のある通信制を選ぶ
指定校推薦があり、大学進学実績が豊富な通信制高校もあります。
ルネサンス高校 |
全国400以上の指定校推薦枠(大学123校・短大49校・専門学校206校 他・2020年度グループ校全体実績) |
---|---|
第一学院高校 |
大学244校・短大92校・専門学校286校など(2021年度実績) |
ただし、有名大学の指定校推薦枠は限られています。
進学したい大学の指定校推薦があるか、推薦を受けられる条件を満たしているかなどを事前に確認しましょう。
デメリット4. 就職に不利と思われがち
就職の際に「通信制高校だと不利になる」と思われるかもしれません。
しかし、通信制への転校が就職に不利になることは少ないでしょう。なぜなら、全日制高校と通信制の就職率の違いはないからです。
全日制と通信制の就職率(一年以下の短期就労者を除いた数値)
- 全日制:15.3%
- 通信制:16.0%
抜粋:「令和3年度 学校基本調査」文部科学省
とは言え、通信制高校を卒業した後の就職に不安を感じる方もいるかもしれません。そんな方に向けた対策を解説します。
対策:専門コースのある通信制を選ぶ
就職面接の際、全日制高校から通信制高校への転校理由を聞かれる可能性があるでしょう。それは自己アピールの機会になります。
通信制のなかには、資格や技能を身に着ける専門コース持つ学校もあります。
高校卒業に必要な勉強だけではなく、目標のために時間を有効活用してきた高校生活は評価される可能性が高いです。
転校先を選ぶ場合、将来も見据えて資格や技術を磨ける通信制の情報を集めましょう。
デメリット5. 今の高校で修得した単位を引き継げない可能性がある
全日制高校から通信制高校に転校する場合、転校する時期に注意しましょう。
タイミングによっては、卒業時期が遅れる可能性もあるからです。
全日制高校は「学年制」を導入しています。そのため、全日制で単位認定されるタイミングは学年末です。
年度の途中で転校してしまうと、その年度の単位は未修得になります。
例えば、高1の途中で転校すると、転校先に引き継げる単位はありません。
単位が引き継げないと転校先で修得するべき単位数が増え、卒業時期の遅れにも関わります。
対策:転校先に相談する
事前に転校先に相談するのが良い方法です。
高校卒業のためには74単位を修得する必要があります。
修得単位から計算し、転校後にどのようなスケジュールで単位を修得できるか確認するようにしましょう。
多くの通信制高校は、卒業に向けて一人ひとりに合わせた学習カリキュラムを作ってくれます。
単位や学習カリキュラムの引き継ぎは、公式ホームページやパンフレットを見るだけでは分かりません。転校の場合は、個別の相談が必要です。
志望校に問い合わせてみるとよいでしょう。
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通信制高校に転校する3つのメリット
ここまで、通信制高校に転校するデメリットと対策を解説しました。
もちろん全日制から通信制に転校することのメリットもあります。
ここではメリットを3つ紹介します。
メリット1. 転校しやすい
通信制高校は、全日制高校よりも転校しやすいです。
全日制から全日制に転校するのは簡単ではありません。転校条件が厳しいからです。
全日制の転校条件の例
- 欠員募集している
- 高校が指定する地域に住んでいる
- 転入試験に合格する
他県の全日制に転校したい場合、引っ越しなどの理由が必要です。また、いつでも転入生を募集しているわけではありません。
いまの高校より偏差値の高い高校に転校したい場合は、難易度の高い転入試験対策も必要です。
これに対して私立の通信制への転校はそれほど難しくありません。
私立通信制の転校条件の例
- どこからでも転校できる(広域通信制の場合)
- 転校受け入れ月が多い(年2回・年4回・毎月など)
- 転入試験の難易度が低い(進学コースなど難易度が高い場合もある)
学科試験(国語・英語・数学)がなく、面接試験書類選考のみの通信制も多いです。
転校条件は学校によって違うので、志望校に確認しましょう。
メリット2. 自分に合った転校先を選べる
全日制高校への転校では、住んでいる地域や受け入れ時期の制限があるため転校先の選択肢が少なくなるのです。
そのため、自分に合う転校先を選ぶのは簡単ではありません。
しかし、通信制高校の場合は転校先の選択肢が多いため、自分に合った転校先を選べるメリットがあります。
自分に合った通信制を選ぶために、以下の点を調べましょう。
通信制を選ぶためのチェックリスト
- 学費・授業料
- 通学(スクーリング)方法
- 進路に応じたカリキュラム(大学進学)
- 専門コースの有無(資格取得)
- 校風や校則
- 制服の有無
- 高校卒業までのサポート体制
自分に合わない高校に通うのが大変だった方もいるかもしれません。自分に合う通信制に転校すれば、学校生活がさらに楽しくなるでしょう。
資料請求や学校見学、説明会に参加して自分に合いそうか調べてみましょう。
メリット3. 全日制高校と同じ高卒資格を得られる
通信制高校を卒業すると、全日制高校と同じ高卒資格を取得できるのもメリットです。
全日制で学習ペースについていけなかったり、不登校になったりした経験があっても、高校卒業を諦める必要はないのです。
大学や専門学校を受験するためには、高卒資格が必要。また、就職の際に「高卒以上」の採用条件を求める企業もあります。
しかし、どの高校を卒業していても、高卒資格に違いはありません。
全日制に通うのを挫折したとしても、通信制を卒業できれば大学進学や就職などの選択肢が広がるのです。
まとめ:通信制高校に転校するデメリットは解消できる
全日制から通信制高校への転校にはデメリットもあります。通信制の特徴である学習や生活の自由度がデメリットになることがあるのです。
しかし、大切なのは、さまざまな通信制高校を比較検討して、自分の悩みをサポートしてくれる高校を見つけることです。
そうすれば通信制高校に転校するデメリットを解消することは可能です。
転校先を決めるためにも、たくさんの通信制高校の情報を集めましょう。資料請求や学校見学会への参加。オープンキャンパスに出かけてみましょう。
自分に合った高校に転校できれば、楽しい学校生活を送れるようになるはずです。
(デザイン:山本 香織)
【資料請求】全国から転入学できる!通信制オンラインスクール「サイル学院高等部」とは?