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Twitterフォロワー10万人超、日本で最も売れる会計本の著者「大手町のランダムウォーカー」が高校生に語る“夢中”のつくり方~サイルビジネス学院高等部の授業レポート【第4回・前半】~

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2022年9月6日、サイルビジネス学院高等部の起業家・事業家による特別授業が開催されました。定期的に行われる特別授業、名称は「事業家からのメッセージ いまを生きる君たちへ」。学校内では「イマキミ」と呼ばれています。

第4回目のゲストは、Twitterを中心に会計クイズで人気の「大手町のランダムウォーカー」の中の人です。著書「世界一楽しい決算書の読み方」は、発売からわずか2年でシリーズ累計30万部突破。今、日本で最も売れている会計本として注目されています。

20代で起業し、“日本人全員が財務諸表を読める世界を創る”を合言葉に、企業研修やコンサルティングも手がける「大手町のランダムウォーカー」さんからサイルに通う高校生(以下、サイル生)に、どのようなメッセージが送られたのでしょうか。

ビジネスの先輩、人生の先輩から直接話を聞き、自分自身の「やりたい・なりたい」姿を見つける。イマキミレポートの前編では、大手町のランダムウォーカーさんと学院長松下の対談をお届けします。

勉強や友達とのコミュニケーション、趣味や部活動など。日々一生懸命に過ごしている高校生のみなさんは、なかなか未来のことを考える時間はとれないかもしれません。「いまを生きている」みなさんが、少し先の未来に目を向けるために。ビジネスの先輩、人生の先輩でもあるゲストからさまざまなことを学び、自分の未来へ一歩踏み出す、行動するきっかけをつかんでほしい。「事業家からのメッセージ いまを生きる君たちへ(通称イマキミ)」には、そんな思いが込められています。

過去のイマキミレポートを読む
第1回:グロービス学び放題事業責任者の鳥潟さんによる授業
第2回:ピープルポート株式会社代表の青山さんによる授業
第3回:シニフィアン株式会社代表の朝倉さんによる授業

今回のゲストは、「会計クイズ」で起業した、大手町のランダムウォーカーさん

大手町のランダムウォーカーさん

大手町のランダムウォーカーさん、中の人

Twitterフォロワー数10万人超。公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て独立。「日本人全員が財務諸表を読める世界を創る」を合言葉に「大手町のランダムウォーカー」として「#会計クイズ」を始め、様々な業種・立場の人をネット上で巻き込み、好評を博す。初の著書『世界一楽しい決算書の読み方』がベストセラーに。現在は株式会社Fundaの代表として「#会計クイズ」を運営するほか、企業研修やコンサルティング業務も行っている。

松下 まずは大手町のランダムウォーカーさんが手がけられている「会計クイズ」について教えていただけますか。

大手町のランダムウォーカー では実際の会計クイズを、一つ紹介しますね。

以下の写真は「セブンイレブンジャパン」「キャンドゥ」「ブックオフ」3社のコスト構造です。(1)~(3)のうち、「セブンイレブンジャパン」はどれだと思いますか?

会計クイズ

大手町のランダムウォーカー 正解は(2)です。ちなみに(1)がキャンドゥ、(3)がブックオフになります。この3社はいずれも、全国に店舗を構える小売ビジネスを展開していますが、それぞれコスト構造が違うんです。

特に(2)は、「売上原価が非常に低い」という特徴があります。この図だけを見ると、「えっ、セブンイレブンの商品って、こんなに原価率が低いの?」と勘違いする方がいるかもしれません。

セブンイレブンジャパンは、なぜこんなに売上原価が低いのか。その裏側は、決算書から読み解けます。セブンイレブンジャパンはフランチャイズ経営をしていて、売上の大半がフランチャイズ契約をしている加盟店からのロイヤリティ収入です。

フランチャイズロイヤリティ収入

大手町のランダムウォーカー セブンイレブンジャパンの売上高の内訳を見ると、自社で直経営しているコンビニの売上は約11%しかないことがわかります。

加盟店収入にはほぼ原価がかかりませんから、必然的に会社の原価率が小さくなるというわけです。

決算書を読めれば、同じ小売業でも、こんなにビジネスモデルが違うんだと知ることができます。つまり、ビジネスの裏側がわかるようになる。企業がどんな商材で、どのように儲けているのか、その仕組みがわかるようになるんです。

これが、僕たちが扱っているメインのコンテンツになります。

バズらせたくて、「会計クイズ」をつくったわけじゃなかった

会計クイズ

松下 当初から、この「会計クイズ」で起業しようと思われていたんですか。

大手町のランダムウォーカー いいえ、そもそも起業したいとさえ思っていませんでした。もともと私のキャリアのスタートは監査法人での会計専門職。企業の経営や財務状況をとりまとめて、報告する仕事をしていたんです。

27歳くらいのとき、もっと事業サイドの仕事をしたいと思うようになりました。会計はいわば、結果ですよね。ビジネスをした結果、どんな数字になるのかをまとめて報告する仕事です。

一方で、ビジネスは未来の数字をつくっていく仕事。未来志向の仕事がしたいなと思ったんです。経営戦略コンサルタントにでも転職しようかなと考えていました。

ただ私自身、会計学や経営学、会社法などの知識は一通り学んでいましたが、ビジネスの知識はほぼなかった。戦略コンサルタントをやるのであれば、ビジネスモデルや儲けの仕組みを知る必要があります。そこで、会計クイズを始めたんです。

松下 ご自身の勉強のために、会計クイズを始めた?

大手町のランダムウォーカー はい。会計クイズは、「数字」と「ビジネスモデル」がリンクしていないと答えられないようになっています。

つまり、会計クイズをたくさんやれば、数字とビジネスがちゃんとつながるんじゃないかと。そう考えて、仲間と一緒に始めたのがきっかけでした。

松下 自分の勉強のために始めたことが、Twitterフォロワー数10万人やベストセラー書籍を生んだわけですから、本当にすごいです。

大手町のランダムウォーカー SNSで話題になって、「勉強会をやってほしい」というオファーをたくさんいただくようになって。毎週アップしていた無料の会計クイズを、一つのコンテンツにまとめたら、売れたんです。

このコンテンツには、お金を払っていただけるだけの価値があるんだと感じて、そこで初めて起業を意識しました。

戦略コンサルタントに転職するか、起業をするか。当時、私の目の前に2つの分かれ道があったわけですが、最終的に起業を選んだのは、戦略コンサルタントへの転職は、やりたければいつでもできると思ったからです。

でも、会計クイズは今、ビジネスにしなければ、そのうち似たコンテンツをつくる人があらわれるでしょう。もともと戦略コンサルタントへの転職を考えたのも、経営に興味があったからでしたし、もう起業しちゃおうという判断に至りました。

「どういう状態だったら、自分が楽しくいられるか」


松下 大手町のランダムウォーカーさんのすごいところは、一人で勉強するのではなく、勉強法を誰もが楽しめるコンテンツに落としこみ、多くの人たちを巻き込んで、学ぶ場をつくられているところですよね。とても楽しそうに取り組まれているようにお見受けしますが、原動力は何なのでしょうか。

大手町のランダムウォーカー 最初はただ「企業分析が好き」なだけだったんですよ。バズらせたいと思っていたわけじゃなくて。たとえ誰からも反応を得られなかったとしても、やりつづけていたと思います。

この企業はどうやって儲けているのか。このビジネスはどのくらいの収益性があるのか。ビジネス構造を紐解いていくのが、純粋に面白かった。だから続けられたんです。

もともと学習意欲というか、新しい知識を得ることが好きで。楽しいから企業分析をしていて、さらに知識を使いこなせるようになるために、わかりやすく解説して。それを世に出してみたら、みなさんに活用してもらえた。

自分のレベルが上がると、まわりのレベルも上がって、今度はもっと高いレベルでの知識を発信したいと思う。その繰り返しだった気がします。

会計クイズは、いわば企業活動そのもの。常に新しいビジネスは生まれていますから、ビジネスパターンって、ほぼ無限にあるわけです。毎回新しい発見を得られる、終わりのないコンテンツだからこそ、ここまで飽きずに続けられたのかもしれませんね。

松下 大手町のランダムウォーカーさんにとって夢中になれるものと、夢中になれないものの違いとは、何でしょう?

大手町のランダムウォーカー そうですね、最終的には自分が楽しめるかどうか、だと思います。いつの時代も「今、これをやったら儲かる」ビジネスってあるんです。確かにお金は稼げるかもしれないけれど、それをやっていて楽しいかどうかはまた別の話ですよね。

私の場合は、企業分析が好きなことに加えて、ユーザーの反応を見られることに楽しさを感じていました。自分が面白いと感じた内容をSNSで発信したときに、反応がかえってくるのが面白いし、うれしい。

一人で楽しめるタイプか、他の人と一緒に楽しみたいかは人によって違うと思いますが、私自身は後者ですね。

松下 夢中になれるものを見つけたときに、その火を消さないようにするために大事なことって、何だと思われますか。

大手町のランダムウォーカー まずは自分を知ることが大事だと思います。自分が最もパフォーマンスを発揮できるのは、どんな状態か。自己分析し、言語化するんです。

私の場合は、時間が固定されているとストレスを感じ、パフォーマンスが落ちるとわかっています。「9時に出社して17時まで仕事をしてください」とガチガチのルールで縛られるよりも、「いつでもいいから自分の気持ちが乗った瞬間にやる」ほうが、短時間で質の高い仕事ができます。

だから、うちの会社では就業時間を決めていないんですよ。時間ではなくタスクで仕事を任せているので、朝気分が乗らなければ12時まで寝てもいいし、平日をオフにして土日にめちゃめちゃ仕事をしてもいい。何でもアリです。

夢中になれる状態を保つためには、自分にとってストレスのない環境にすることが重要だと思います。ただ、この記事を読む高校生に気をつけてほしいのは、その状況を許してもらうためには実力をつけなければならないということ。

実力のない人がこれをやると「あの人とはもう仕事をしたくない」と思われて、終わりですから。そうではなくて、「それでもあの人に頼みたい」「一緒に仕事をしたい」と思わせなくちゃいけない。

だから私自身も20代は、まず正しい知識と正しい技術を身につけ、新しい経験を積み重ねて、自分がのびのびと闘うための環境を整えることに時間を費やしました。

松下 20代のときから、これからの生き方を考えていらっしゃったんですね。

大手町のランダムウォーカー 20歳のとき、「30歳のときに、こういう状態になりたい」という目標を決めていました。

具体的には、30歳までに自由を手に入れたいと思っていたんです。自由ってすごく難しくて、お金と時間の両方が揃わないとダメなんですね。いくらお金があっても時間がなかったら使えませんし、いくら時間があってもお金がなかったら出来ることが限られます。

じゃあ、どんなスキルがあったら、自由になれるかを考えて、公認会計士の資格を取りました。ふりかえって考えてみると、かなり早いタイミングから30歳の目標地点を決めていましたね。

松下 具体的な職業ではなく、「どういう状態になりたいか」を考えて、目標設定していたんですね?

大手町のランダムウォーカー なりたい職業を決めるのは、私はあまりお勧めしません。弁護士になりたいとか、パイロットになりたいとか、職業を決めても、「思っていたのと違った」ってなりやすいんです。

なぜかというと、その仕事を経験していないから。未経験のものを予測するのは難しいので、「○○の職業に就きたい」ではなく「どういう状態になったら、自分が楽しめるか」を考えていましたね。


大手町のランダムウォーカーさんのお話を、サイル生は一生懸命に聞いていました。イマキミ授業レポート後編では、サイル生との質疑応答の様子をお届けいたします。

(デザイン:山本 香織、文:猪俣 奈央子)

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この記事を書いた人
ライター猪俣さん

猪俣 奈央子 / Naoko Inomata

フリーライター

大学卒業後、転職メディアを運営するエン・ジャパン株式会社に入社し、中途採用広告のライター業に従事。最大20名のライターをマネジメントする管理職経験あり。2014年にフリーのインタビューライターとして独立。働き方・人材育成・マネジメント・組織開発・ダイバーシティ・女性の生き方・子育て・小児医療・ノンフィクションなどを得意ジャンルとしている。近年では著者に取材し、執筆協力を行うブックライターとしても活動中。Twitter:@inonao_writer

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