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元ミクシィCEO・起業家兼投資家の朝倉祐介さんが贈る、13歳へのメッセージ「失敗を想定するから、思いきり挑戦できる」

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一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会へ。

偏差値というたった一つのものさしだけを基準にするのではなく、まわりの大人の声にただ流されるのでもなく、一人ひとりが“自分の人生の主人公”として、意志を持って将来を選び、切り拓いていってほしい。サイル学院は、そう考えています。

とはいえ、社会に飛び立つ前の10代にとって、進路選びは難題です。「将来、どんな道があるのか、想像できない」「何を基準に進路選びをすればいいのか、わからない」というのが本音だと思います。進路選びは、正解のない問い。迷いがあって、当然です。

一方で、いま社会の第一線で活躍しているビジネスパーソンや、自らの能力を発揮し、いきいきと生きている大人たちにも、みなさんと同じように進路に迷った10代の日々があったはず。彼らは、どんな学生時代を過ごし、どのように進路を選択して、今に至っているのでしょうか。彼らが持つ十人十色のヒストリーは、進学や就職など、今岐路に立っているみなさんの背中をそっと押してくれるはず。

そう考えた「13歳からの進路相談(すばる舎)」著者・学院長の松下は、各界で活躍する方々をお招きし、13歳の進路選びをテーマに語り合うことにしました。題して「いまを生きる君たちへ『もし私が、13歳なら』」。

三人目となる今回のゲストは、書籍『ファイナンス思考』の著者で、起業家兼投資家として活躍されているシニフィアン株式会社共同代表の朝倉祐介さん。業績不振に陥っていたミクシィを社長就任後わずか1年で立て直し、時価総額を25倍にも押し上げた元ミクシィCEOとしても知られている方です。

朝倉祐介さん

【シニフィアン株式会社共同代表 朝倉祐介さん】

1982年、兵庫県出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部に入学。在学中、ネイキッドテクノロジーを創業する。卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰し、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員、ラクスル株式会社社外取締役、株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役(現任)、Tokyo Founders Fundパートナー(現任)。2017年、シニフィアン株式会社を設立し、スタートアップへのリスクマネー提供や経営支援に従事。

孤独への耐性がついた、小学生時代

 松下

朝倉さんは、幼い頃はどんなお子さんでしたか?

朝倉祐介さん 朝倉さん

小学生のときは歴史が好きで、歴史人物の漫画を読みふけったり、図書館に行って戦国武将について調べたり。自分が好きなことを突き詰めてやる子でした。実は、小学生時代に、その後の人格形成に大きな影響を及ぼす出来事があって。僕は、親からスーパーファミコンを買ってもらえなかったんです。

松下 スーパーファミコンがすごく流行っていた時代ですよね?

朝倉 そうです。僕は今40歳なんですけど、当時はスーパーファミコンの全盛期。みんなストリートファイターIIとか、ロマンシング サ・ガとか、ファイナルファンタジーとかにハマっていて、休み時間の男子は、スーファミの話しかしていなかった。

うちの親は頑なに、スーファミを買ってくれなくて。でもなぜか、パソコンは買ってくれたんですよね。だから僕が初めてやったゲームは「信長の野望 戦国群雄伝」です。ただ、まわりは誰もやっていないでしょう? 「昨日、織田信長が武田信玄を倒してさ」って言っても、わかってくれる小学生なんていないわけです。

松下 ですよね(笑)

朝倉 この結果、なにが起きるかというと、周囲から“浮く”んです。いじめられているわけではないけれど、まわりと会話がかみ合わなくなって、孤独になっていく。そうして一人でいることに慣れていくんですね。

松下 孤独に強くなっていく?

朝倉 はい。他人と違う行動をしていることが普通になって、人の目が気にならなくなる。しかも孤独だから、さらに本を読むようになりました。しかも星新一さんの本とかを読んでいたので、当然ながら趣味の合う友だちはいない(笑)。ますます孤独に拍車がかかって、好きなことに没頭するようになる、そんなスパイラルに入っていきましたよね。

王道ルートから外れ、騎手の道へ

 松下

朝倉さんは中学卒業後は、競馬騎手養成学校に入学されます。普通高への進学という、いわゆる王道ルートから外れる選択をしたのは、なぜだったんでしょう?

朝倉祐介さん 朝倉さん

兵庫の西宮育ちで阪神競馬場が近かったこともあり、もともと自然と、競馬に興味を持っていたんです。競馬はスポーツとしても、コンテンツとしても面白い。馬も大好きで、乗馬をしてみたらすぐ乗れてしまった。それで勘違いして、「競馬の騎手になればいいんじゃない?」と思ったんです。競馬は世界中で行われています。技術さえ身につければ、世界中どこでも食っていける。身につける価値のある技術だと感じました。

松下 勇気のある決断ですよね。

朝倉 僕からしたら、なんで高校に行かなきゃいけないの?って感じなんです。13歳の僕なりに考えた、高校に行く理由は、いい大学に行くため。じゃあ、いい大学に行くのはなぜか? それはいい会社に就職して、高い収入やステータスを得るためですよね。それが、いわゆる世間一般での“成功した人生”だから。

そう思い至ったとき、「それって他人の尺度じゃない?」と気づいた。僕は、僕が好きなことをやりたい。僕は、僕自身が満足する人生を送りたい。そして、当時の僕が最もやりたかったことが、競馬の騎手だったんです。だからみんなに合わせて、高校に進学することになんの意味も見出せなかった。

松下 周囲から反対されませんでしたか?

朝倉 親は、ものすごく反対しました。まぁ、子どもが「中学卒業したら騎手になる」と言ったら、たいていの親は反対しますよね(笑)。「高校卒業してからでいいんじゃない?」とも言われました。

でも当時の僕は、ちゃんとリスク管理もしていたんです。中学卒業後すぐに騎手を目指した場合、仮に失敗したとしても、どこでもいいから高校に入り、大学受験すれば挽回できます。ただ、高校卒業後に騎手を目指した場合、もう年齢も上ですし、世の中のキャリアトラックに戻れる余地が少ない。リスクヘッジの観点でも、早く挑戦するほうがいいと考えたんです。

松下 なるほど。ちゃんと騎手として成功しなかった時のことも考えていたと。

朝倉 はい。ただ、オーストラリアの騎手養成学校に入学したものの、結果的にはやむを得ず、騎手の道を断念します。想定以上に、身長が伸びてしまったんです。それを止めようと食事を控えているうちに身体をこわしてしまった。自分ではどうしようもないこともあるんだなと知りました。

松下 帰国後は、大学に進学。学生起業やコンサルティングファーム勤務、ミクシィCEOとして業績のV字回復をけん引された経験を経て、現在は起業家・投資家として活躍されています。一見、バラバラの経歴に見えて、幼少期から培われていた「誰の目も気にせず、自分の力で切り拓いていく」ことを体現されている気がします。

朝倉 そうですね。やっていることは違っても、僕の根底にあるのは“独立心”なのだと思います。たとえば、外的な要因によって自分自身が報われないという状態が我慢できません。自分の運命を自分以外の人やものに委ねる恐怖心が、僕にはある。だから世の中では安泰といわれているような大手企業に就職して、歯車の一部になって働くことのほうが、僕にとっては勇気がいるんです。たとえば所属している派閥の上司が失敗したら自分も左遷されるみたいな環境では絶対、働けないなと思います。

挑戦の後も、人生はつづく

 松下

今、進路選びの岐路に立っている13歳に、どんなメッセージを伝えたいですか。

朝倉祐介さん 朝倉さん

もしもなにかやりたいことがあるんだったら、やってみたらいいと思います。ただ、やりたいことに突き進むときに、心に留めておいてほしいのは「うまくいかなかったときに、どう挽回するか」を考えておくこと。

僕は「背水の陣」という言葉が嫌いです。退路を断つのではなく、退路をつくっておいてほしい。ダメだと思ったら、迷わず逃げる。恥ずかしいことではありません。「いざとなったら逃げ道がある」と思うからこそ、安心して思いきった挑戦ができるんです。挑戦した後も人生はつづきますから、失敗したときの対策も頭の片隅に置いておいてください。

一方で、やりたいことなんてないという人もいるでしょう。そちらのほうが多いんじゃないかな。13歳の視野で見える世界はとても小さいので、とにかく経験の総量を増やしましょう。そして、まだやりたいことが見つからないうちは、自分の可能性が広がるほうに身を置くのがいいんじゃないかなと思います。

そのときに大切なのは二つ。一つは、他人の目を気にしないこと。「普通、中学生はこんなことしないよ」というような言葉は聞かなくていいし、むしろ“普通はやらないこと”をやったほうがいいです。

二つ目は、失敗を怖がらないこと。たしかに失敗は怖い。周囲から笑われて恥ずかしい思いをするかもしれません。でも、それは一瞬です。長い人生で見たら、まったくたいしたことじゃない。それに恥ずかしい経験をたくさんすることで、徐々に恥をかくのに慣れます。すると、挑戦することへの躊躇がなくなっていく。結果的にいろんな経験ができ、学びが深まるんです。他人の目は気にせず、恥をかくことを躊躇せず、やってみたいことを思う存分、やってください。

(デザイン:山本 香織、文:猪俣 奈央子)

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この記事を書いた人

松下 雅征/Matsushita Masayuki

サイル学院高等部 学院長

1993年生まれ。東京都の公立中学校卒業。早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は7万件以上。新卒で教育系上場企業に入社。マーケティング部門立ち上げを担当。2020年、コンサルティング会社の才流に入社。新規事業開発を担当。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。ゼロから起業を学びながら高校卒業できる通信制オンラインスクール「サイル学院高等部」を創立。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して、学院長として学校経営に従事。著書「マンガと図解でわかる!13歳からの進路相談」(すばる舎)。1児の父。
@msykmatsushita

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