
高3から全日制高校へ転校できる?転校手続き・卒業時期を解説
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高3から他の高校に転校できる?
転校の手続きはどうすればいいの?
このようにお悩みでしょうか。
高3から高校へ転校(転入)は可能。全日制高校は学期ごとに転校生を募集しているので、転校の機会は年3回です。
ただし、転校時期が遅ければ、卒業が遅れる可能性も。なるべく早く決断することが必要です。
学院長 松下
本記事では、全日制高校への転入条件や手続きについて、サイル学院高等部 学院長の松下が解説します。 また、卒業時期についても学年(高2・高3)別に説明しますので、参考にしてください。 |
高3から全日制高校への転校は可能【ただし条件あり】
高3から全日制高校に転校するには、3つの条件をクリアしなければいけません。
1つずつ説明します。
条件1. 志望校に欠員がある
転校生の募集は「欠員がある高校のみ」行われます。
募集人数は少なく、倍率が高ければ転校できる可能性は低くなります。
確実に転校したいなら、志望校は1つだけでなく複数の候補をあげましょう。
なお、3学期に高3生を募集しない高校もあります。
あらかじめ高3生を受け入れているかを調べると同時に、なるべく早い時期での転校を心がけてください。
条件2. 転入試験に合格する
全日制高校に転校するには、転入試験に合格する必要があります。
試験内容は「学力試験(国語・数学・英語)+面接」である場合がほとんどです。これに加えて、作文が必要な学校もあります。
なお、転入試験は簡単とはいえません。試験である以上、不合格者も出ています。
受験人数 |
合格人数 |
倍率 |
|
第3学年 |
11人 |
6人 |
1.83倍 |
抜粋:令和4年度第一学期都立高等学校転学・編入学募集(第2学年以上)実施結果【全日制総括】・東京都教育委員会
上記は都立高校の例ですが、不合格者が5人も出ています。
過去問が入手できれば試験対策が練りやすいので、志望校に依頼してみましょう。
また、試験日が重ならなければ複数校の受験を認めている都道府県もあります。
確実に転入したい方は、公立・私立合わせて複数校に出願することをおすすめします。
ただし、最初に合格した高校に転入しないといけない等のルールがあるため、この点は留意してください。
条件3. 本人・保護者の住所が志望校の都道府県内にある
公立の場合、本人と保護者が同居し、志望校と同じ都道府県に現在または入学日までに住んでいることが必要です。
なお、保護者が父母である場合、特別な事情があれば父母のどちらかが同居しなくても出願が認められる場合があります。
特別な事情の例
- 介護
- 病気療養
- 出産
- 離婚調停中
- 海外赴任
居住地は、出願時に提出する住民票などの書類でチェックされます。
なお都道府県単位ではなく、〇〇市などさらに細かく通学区域が決まっている都道府県もあります。
住む場所によって出願できる学校が定められているので、教育委員会のホームページなどで確認してみましょう。
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高3で転校すると卒業時期は遅れる?|学年別で回答
高3で転校となると、同級生と同じ時期に卒業できるか気になる人も多いでしょう。
ここからは現在高2の人と現在高3の人に分けて解説します。
現在高2|高3から転校したい人
卒業時期を遅らせたくなければ、高2の末までに多くの単位を取っておく必要があります。
高校卒業には「3年間で74単位以上の修得」が必要です。
つまり「高2末までに修得した単位数+転校先での修得見込み単位=74単位以上」であれば、卒業できます。
修得単位が決定するのは、学年末です。もし高2の途中で転入すると、高1で修得済の単位しか転校先へ引き継げません。
そのため、高2の末までは現在の高校に在学し、高3の4月から転校することがおすすめです。
現在高3|年度中に転校したい人
卒業時期を延ばさないためには、なるべく早い時期に転校しましょう。
単位数は学年末に決定するので、高3からの学習内容は単位としては認定されません。
高2までに多くの単位数を修得しており、高3の4月からの転校であれば、同級生と同時期に卒業できる見込みは高くなります。
しかし、高3の2学期や3学期からの転校であれば、卒業に必要な74単位が修得できず、卒業時期が遅れる可能性が高いです。
全日制高校への転校手続き5ステップ
全日制高校の転校手続きは、基本的に現在の学校を通して行います。
そのため、学校側に依頼することが多く、手続きの流れを理解することが大事です。
スムーズに転校手続きができるよう、5ステップで手続きの内容を確認していきましょう。
ステップ1. 志望校を決定する
まずは志望校を決めます。
前述のとおり、欠員がないと募集はありません。志望校のうち募集のある学校を探しましょう。
欠員のある高校の探し方
- 在学校の進路指導担当の先生から情報を得る
- 都道府県教育委員会のホームページ上で探す
- 志望校に問い合わせる
- 都道府県私学協会に問い合わせる(私立高校の場合)
ステップ2. 在学中の高校に転校の意志を伝える
次に在学中の高校に転校したいという意志を伝えましょう。
学校側との面談の際に「なぜ高3の時期に転校がしたいのか」理由を聞かれると思われます。
自分の中で整理をし、説明できるようにしておきましょう。
なお、出願のスケジュールはタイトなため、できるだけ急いで手続きを済ませましょう。
1学期 |
2学期 |
3学期 |
|
---|---|---|---|
募集状況の発表 |
3月上旬 |
7月上旬 |
11月下旬 |
入学願書の受付 |
3月中旬 |
8月上旬 |
12月上旬 |
上記は都立高校の例ですが、募集発表から入学願書までが2学期を除いては10日ほどとなっています。
募集発表があってからすぐ出願準備に取り掛かれるよう、志望校は早めに決めて、学校側と共有しておきましょう。
ステップ3. 出願前に志望校へ単位照合を依頼する
単位照合とは、修得済の単位と志望校のカリキュラムを照合し、卒業に必要な単位が取れるかの調査です。
志望校の校長が卒業に支障ないと判断すれば、出願ができます。
ステップ4. 必要書類を準備し、出願する
志望校から願書を取り寄せ、出願書類を準備します。
高校に用意してもらう書類は発行に時間がかかります。早めに依頼しましょう。
高校に用意してもらう書類の例
- 転学照会書
- 在籍証明書
- 単位修得証明書・成績証明書
自分で用意する書類の例
- 転入学願書
- 住所を証明する書類
- 受験料の振込証明書
ステップ5. 転入試験に合格後、入学手続きを行う
転入試験に合格したら、転校先の高校の指示に従って入学手続きを行いましょう。
主な入学手続き
- 入学金・学費の納入
- 契約書・同意書の提出
まとめ
全日制高校へ高3から転校できますが、転校条件を満たす必要があります。
中でもネックになるのは、転入試験に合格できるかどうかではないでしょうか。
国語・数学・英語の試験があるので、学力面で不安を抱えている人にはハードルが高く感じられるでしょう。
なお、通信制高校は学力試験がなく、面接や作文のみで入学を許可される学校が多いのが特徴です。
また、通信制高校は随時入学可能な学校が多く、柔軟にカリキュラムが組めるメリットがあります。
高3の途中からでも転校がしやすいため、全日制高校だけではなく通信制高校も転校先の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
(デザイン:山本 香織)