中学の不登校は編入で解決?注意点・編入以外の解決策を紹介
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いま通っている私立中学が合わないので不登校になったのかもしれない
地元の公立中学校に進学したけど、転校したい
このように感じているかもしれません。
いまの中学を転校するにしても、しないにしても、さまざまな選択肢があることが分かれば、気持ちに余裕をもって進路を決められます。
進路相談のプロ
本記事では、不登校を解消したい方向けに、転校が不登校解消の解決策になる場合とならない場合の具体例や、転校手続きについて進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院 学院長の松下が解説します。 また、転校以外のさまざまな選択肢も紹介しますので、ぜひご覧ください。 |
【不登校でお悩みの方へ】
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編入と転入の違いは退学したかどうか
いまの中学を転校したいと悩んでおられる方もいるでしょう。
いま通っている学校を替えることを「転校」と呼びますが、転校には「編入」「転入」の2種類があります。
編入:学校を退学したあとに再入学すること
転入:学校をやめずに別の学校に転校すること
編入と転入では手続きが違うので、自分はどちらに当てはまるのかを知っておきましょう。
編入:退学したあと再入学すること
編入とは、いま通っている中学を退学したあとに別の学校に再入学することです。
中学は義務教育なので、公立中学には退学という制度はありません。
しかし、私立中学に通っている場合は、不登校になり出席日数が足りなくなると退学を勧められることがあります。
そのため、編入する可能性があるのは、私立中学に通う方です。
転入:退学せずに学校を替えること
転入とは、いま通っている中学をやめずに別の学校に入ることです。
一般的に、転校と呼ばれます。
転入の例
- 公立中学に通っている方が、引っ越しなどの事情で別の公立中学に学校を替える
- 私立中学に在籍している間に手続きをして、公立中学に移る
転入・編入をまとめて「転編入(転編入学)」と呼ぶこともあります。
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不登校の原因|編入・転入は解決策になる?
いま通っている中学の転校を決める前に、不登校の原因を探るのは大切です。
不登校になった原因が分からないまま、別の学校に転編入しても不登校が続いてしまう可能性があるからです。
そこで、解決策になるケースとならないケースについて見ていきましょう。
編入・転入が解決策になるケース
以下のケースに当てはまるなら、転校で不登校を解消できる可能性があります。
私立中学や公立中学への編入・転入を検討してみましょう。
今通っている学校との相性が悪い
学校の環境や相性が不登校の原因になっている場合、転校で解決できる場合があります。
不登校になる学校環境の例
- いじめ・先生との相性などの人間関係
- 通学の負担
- 校風が合わない
不登校が長引き「今さらクラスに戻りづらい」「気まずくて学校に行きたくない」と感じている場合もあるでしょう。
そのような時には、編入・転入で再び登校できるようになるかもしれません。
編入・転入したい私立中学や公立中学の情報を集める際には、不登校になった原因を解決できる学校を選ぶことをおすすめします。
参考:「学校に行きたくない」は甘えではない。親が取るべき行動を4段階で解説
自分の意志で編入・転入を決めている
あなた自身が「この学校に行きたい」「この中学に通いたい」と、自分の意志で編入・転入を決めることが大切です。
別の中学に転校したい例
- 大学進学を目指して中高一貫の私立中学に編入・転入したい
- 全国大会で実績のある部活動のある中学に入りたい
- あこがれの制服・校風がある私立中学に通いたい
自分の意志がはっきりし、別の中学に通いたいと思えるなら、不登校を克服するだけの元気や意欲がある証拠です。きっとうまくいくでしょう。
編入・転入が解決策にならないケース
以下のケースに当てはまる場合、転校しても不登校が続くかもしれません。
もう一度、あなたにとって転校が良い選択肢なのか考えましょう。
学校という場所がストレスになっている
学校という場所そのものにストレスを抱えて不登校になっている方もいます。
不登校になる原因の例
- 集団生活にストレスを感じている
- 学校という場所そのものに不安感がある
学校自体にストレスがある場合、編入・転入が解決策にならない可能性が高いです。
「なぜ、学校が苦手なのか」についてじっくりと考えてみましょう。
参考:学校に行きたくない理由がわからない方へ。できること5つを解説
生活リズムが崩れている
不登校の期間が続くと、生活のリズムが崩れている場合が多いです。
昼夜逆転してしまい、朝起きられなくなってはいませんか?
もし生活リズムが崩れて不登校になっているのであれば、他の学校に編入・転入しても同じように通えないままかもしれません。
まずは、少しずつ生活のリズムを整えることが先決です。
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中学への編入・転入を決める前に考えたいポイント
転校が不登校の解決策になりそうなら、ぜひ転入・編入を1つの選択肢として考えたいところ。
しかし、どの中学に転校するかを決める前に考えてほしいポイントがあります。
編入・転入したい中学の情報を集める
転校したい中学の情報を集めるところから始めましょう。
公立中学の場合は、住んでいる地区により学校を選べないこともありますが、私立中学の場合はさまざまな学校の選択肢があるでしょう。
調べておきたい情報の例
- 編入や転入生の受け入れができるかどうか
- 学校の雰囲気
- 先生たちの接し方
- カリキュラムや学習ペース
- 学校周辺の様子
- 通学ルートや交通アクセス
親子で学校見学に行ってみると、自分が通いたいと思える学校かどうかイメージしやすいです。
心配なことを親子で話し合っておく
転校すれば自動的に不登校の問題が解決するわけではありません。
心配なことを親子でよく話し合うようにしましょう。
話し合っておきたいことの例
- 勉強のペースについていくためにできること
- 最初のうちは親に一緒に登校してもらうこと
- 規則正しい生活ができるように助けてもらうこと
別の私立中学や公立中学に編入・転入すると、授業のペースについていくのも大変になるかもしれません。
家庭教師や個別指導塾などのサポートがあれば安心できる場合もあります。
親子で十分に話し合って、中学を転校することで不登校を解決できると確信が持てるなら、具体的な準備を始められます。
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私立中学・公立中学|編入・転入の条件
中学の転校が現実的になったら、編入・転入したい学校の応募資格を調べましょう。
公立中学と私立中学では編入・転入の条件が異なるので、分けてお話しします。
公立中学に編入・転入する条件
公立中学に転校したい場合は、以下の2つのパターンのどちらかでしょう。
- 公立中学から別の公立中学
- 私立中学から公立中学
公立中学の転校は転居や転勤などの理由以外では認められていません。
不登校やいじめなどの問題で、学区外の公立中学に編入・転入することは難しい場合が多いです。
しかし、住んでいる地区の教育委員会の判断で転校が認められるケースもあるので、相談してみましょう。
私立中学に編入・転入する条件
私立中学に転校したい場合は、以下の2つのパターンのどちらかでしょう。
- 公立中学から私立中学
- 私立中学から別の私立中学
私立中学に転校したい場合は転入・編入試験に合格する必要があることを知っておきましょう。
転入生・編入生の募集時期は私立中学により異なります。
転・編入試験では、英・国・数などの試験と面接を実施する私立中学が多いです。
また、一般的な私立中学は転勤や転居・海外帰国などの条件を満たしていなければ転・編入試験を受けられないことも注意が必要です。
私立中学も公立中学と同じように、不登校などの理由で転校を受け入れている学校は多くありません。
しかし、少数ながら編入・転入の条件なく誰でも受験できる私立中学もあります。
各都道府県の私立中学高等学校協会のホームページから、私立中学への編入・転入の応募資格を調べてみましょう。
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私立中学・公立中学|編入・転入手続き
転校することで不登校の原因が解決でき、また転校の条件も満たしているのであれば、転校手続きを進めていきましょう。
公立中学と私立中学に転入・編入する場合では手続きが異なるので、分けてお話しします。
公立中学の編入・転入手続き
いま通っている中学が、私立中学でも公立中学でも、別の公立中学に編入・転入するための方法は大きく変わりません。
いま通っている中学から必要書類をもらう
転校を決めたら、いま通っている私立中学・公立中学の担任に相談しましょう。
遅くとも、転校の1か月前には準備を始める必要があります。
いま通っている中学から各種書類を出してもらう必要があるからです。
必要書類
- 在学証明書
- 教科書給与証明書
住んでいる地区の役所に必要書類を提出する
いま通っている中学で発行してもらった「在学証明書」を、住んでいる市区町村の学事課などの窓口で提出します。
役所からもらえる書類
- 転入学通知書
役所の窓口からもらう「転入学通知書」に指定された学校が記されています。
指定された公立中学に連絡し、転校先の学校が必要とする書類をそろえて提出します。
いま通っている公立中学から別の公立中学に転校したい場合は、住んでいる市区町村の学事課などの窓口で「指定校変更」の手続きをします。
ただし、引っ越し以外の理由(不登校やいじめなど)で転校が認められるかどうかは教育委員会の判断次第です。
編入・転入したい公立中学に必要書類を提出する
いま通っている中学でもらった書類と、役所でもらった書類をそろえて、転校したい公立中学に提出します。
提出する必要書類
- 在学証明書
- 教科書給与証明書
- 転入学通知書
新しい公立中学で使用する体操服や必要物の購入方法なども聞いておきましょう。
私立中学の編入・転入手続き
いま通っている中学が私立中学でも公立中学でも、別の私立中学に編入・転入するための方法は大きく変わりません。
しかし、私立中学に編入・転入するのは、公立中学に転校するよりも大変です。
私立中学に編入・転入するためには、転・編入試験に合格しなければ転校手続きができないからです。
転・編入試験に合格したあとに、以下の方法で手続きを進めましょう。
いま通っている中学から必要書類をもらう
転校することが決まったら、いま通っている私立中学・公立中学の担任に相談します。転校したい1か月前には準備を始めましょう。
いま通っている中学から、在学証明書などの書類を出してもらう必要があるからです。
私立中学ごとに必要書類が違う場合があるので、転校したい私立中学に問い合わせて書類を準備しましょう。
転校したい私立中学の転・編入試験を受ける
私立中学に転校するためには転・編入試験に合格しなければなりません。
転校したい私立中学から願書を取り寄せましょう。願書は、学校説明会や学校見学した際に入手できます。
転・編入試験料は私立中学によって異なりますので確認しましょう。
願書と一緒に必要書類を提出します。
私立中学の編入・転入に必要なもの
- 住所が分かる書類
- いま通っている中学からもらう書類(在学証明書・転学証明書など)
- 成績証明書
- 出欠状況が分かる書類
学校によって必要書類が異なりますので、必ず事前に確認してください。
各都道府県の私立中学高等学校協会のホームページから、各私立中学への転・編入試験の時期や必要な書類を確認できます。
無事に、転・編入試験に合格したら転校手続きできます。
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編入・転入をせず、中学不登校を解決するための選択肢
不登校を解決するために、自由度の高い私立中学に転校を考える方は多いです。
しかし、転校を決める前にさまざまな選択肢を知ることが大切です。いまの中学に通いながら不登校から復帰できるかもしれないからです。
また、中学卒業後の高校進学にも、さまざまな選択肢があることを知っておくと気持ちが楽になるでしょう。
いまの中学で卒業を目指す
中学校は義務教育なので、簡単に退学させられることは少ないです。とくに公立中学はその傾向があります。
学校側は生徒を進級・卒業させるための方法を考えてくれます。
不登校になった後、補習や保健室、別室登校などをさせてくれる場合があります。
また、自宅でインターネットを使った学習をすることで、出席を認めてくれる場合もあるようです。
先生に相談して、中学を卒業するための方法を一緒に考えてもらいましょう。
さらに、以下3つのサポートを利用しても良いでしょう。
適応指導教室(教育支援センター)
適応指導教室とは、不登校生徒が学校に通えるように支援してくれる施設です。
適応指導教室への登校は出席扱いとなります。
学校以外の場所に設置されることもあり、中学に通えなくなっている方にも通いやすいです。
適応指導教室では、キャンプやボランティア活動などの体験学習や、調理実習、ゲームなどのグループ活動をしながら学校生活に戻れるカリキュラムが組まれています。
また、適応指導教室は費用はかかりません。
フリースクール
フリースクールとは不登校の子供たちの居場所になるために用意されている民間の施設です。
フリースクールでは、さまざまな年代の子供たちが集まっており、決まったカリキュラムがないので自由に学習ができます。
いま通っている中学とフリースクールが連携することで、出席日数を認めてもらえる可能性があるのもメリットです。
全国に474のフリースクールがあります。(文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」平成27年8月5日)
お住まいの地域にあるフリースクールの費用や評判なども調べてみましょう。
家庭教師や個別指導塾
不登校の生徒を専門にした家庭教師や個別指導塾もあります。
学習の遅れが心配な場合、家庭教師に教えてもらいながら自宅で勉強しましょう。
いま通っている中学の先生と家庭教師の先生が連絡を取り合えば、自宅で勉強した時間を出席日数に数えてもらえる可能性があることも知っておくとよいでしょう。
出席日数に認められるかどうかは、今通っている学校に確認してもらいましょう。
家庭教師や個別指導塾で、自分に合った先生に出会えれば、不登校でも学習の意欲を保ち続けられるでしょう。
参考:高校の保健室登校とは?過ごし方・メリット・デメリットを解説
中学卒業後の進路には選択肢がある
いまの中学で不登校になっているなら、高校の進学にも不安を感じるかもしれません。
中高一貫の私立中学に通っている場合、不登校でも高校に進学できる場合が多いです。
しかし、高校進学後に通学できなければ留年したり、中退したりする可能性があるでしょう。
先々のことを考えると「今すぐ不登校を何とかしなければ」と気持ちが焦るかもしれません。
そんな方に、知っていただきたいのが通信制高校です。
通信制高校は全国に257校あり、通信制高校に通う生徒は年々増加しています。(文部科学省「学校基本調査」令和2年5月1日)
通信制高校はオンライン授業や、レポートの提出やスクーリングで単位を取得できるため、毎日、通学する必要がないのが特徴です。
毎日通学する環境が苦手だった不登校経験者でも、自由度の高い通信制高校で高卒資格を取得したり、自分のやりたいことを実現させたりしている方が大勢います。
いまの中学にとどまるにせよ、別の中学に転校するにせよ、中学を卒業して高校を選ぶ際には多くの選択肢があることを覚えておきましょう。
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不登校でお悩みの方へ
不登校を改善するために、いま通っている中学を転校することを考えているなら、まずは不登校の原因を考えてみましょう。
不登校の原因によっては別の私立中学や公立中学に編入・転入しても、問題は解決しないからです。
原因が分かれば、編入・転入が良いのか、いまの中学でも卒業を目指せるのか分かるようになるはずです。
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この記事を書いた人
サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。1児の父。学生時代は早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は10万件以上。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社の才流(サイル)で勤務。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。2023年、同校の中等部を創立。著書「
13歳からの進路相談」(すばる舎)。進路選択をテーマにした講演・イベントの登壇実績多数。
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