
通信制高校とは?授業内容・学費・メリットをわかりやすく解説
記事を読むのにかかる時間 3分
通信制高校に興味がある
全日制高校には合ってないような気がする
このようにお考えでしょうか。
最近は「自分らしい学び方や学校生活」を求めて通信制高校に入学・転校する人も増えています。
一方、通信制高校に興味はあるけれど詳しく知らない方、今までの通信制高校にあるネガティブなイメージしか知らないという方も多いのではないでしょうか。
学院長 松下
本記事では通信制高校について学費や入試、卒業に必要な単位などの基本的な情報をサイル学院高等部 学院長の松下が紹介します。
また、通信制高校の授業内容についてもお話ししていきます。
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目次[非表示]
- 1.通信制高校とは
- 2.通信制高校は全日制高校・定時制高校と何が違うの?
- 3.「通信制サポート校」と「技能連携校」とは?
- 4.通信制高校に通っているのはどんな人?
- 4.1.高校卒業資格を得たい人
- 4.2.将来に役立つ知識を得たい人・専門的な分野も幅広く学びたい人
- 4.3.自分のペースで学びたい人
- 5.通信制高校への入学や転入・編入方法は?いつでも入れるの?
- 5.1.入学できる時期
- 5.2.全日制高校からも転入・編入できる
- 6.通信制高校に入学するには何をすればいいの?
- 6.1.通信制高校に入学できる基準
- 6.2.通信制高校の入試制度|面接が中心
- 7.通信制高校の学費はどのくらいかかる?就学支援金はある?
- 8.通信制高校のメリット
- 8.1.費用が安い
- 8.2.単位制のため自分のペースで学べる
- 8.3.全日制高校よりも幅広い学びの環境が得られる
- 8.4.3年で卒業しなくてもよい
- 9.通信制高校のデメリットと対策
- 9.1.自習のモチベーションが必要
- 9.1.1.対策1. 通学の多い通信制高校を選ぶ
- 9.1.2.対策2. 通信制サポート校を利用する
- 9.2.人と会える機会、イベント参加が少なくなる
- 9.2.1.対策1. 通学頻度が多い高校、部活動などのある高校を選ぶ
- 9.2.2.対策2. 通信制サポート校での出会いを利用する
- 10.通信制高校ではどんな学校生活を送っているの?
- 10.1.一般的な通信高校における学習の中心はレポート提出
- 10.1.1.レポート提出・添削指導
- 10.1.2.スクーリング(登校・面接指導)
- 10.1.3.単位認定試験
- 10.2.通信制高校でもイベントやクラブ活動は盛ん!
- 11.通信制高校の卒業時期と卒業に必要な要件
- 11.1.卒業に必要な単位数|74単位
- 11.2.卒業に必要な在籍期間|3年以上
- 11.3.通っていた高校の単位は有効?
- 12.まとめ:通信制高校は「自分らしい学校生活」のための1つの選択肢
通信制高校とは
通信制高校とは、郵送やICTなど多様な通信手段を使い、学校に毎日通わなくても主に自宅学習で高校卒業の資格を得られる学校を指します。
指導方法もレポート提出と添削、面接、スクーリング(登校)、テストなど様々です。
卒業に必要な単位数・時間数は全日制高校と同様。しかし、学習時間や入学時期などを自分で選べ、自分のペースで学べます。
近年は、ポジティブかつ明確な目的意識をもって通信制高校を選択する学生も増えています。
近年増えている通信制高校を選択する理由の例
- 目標のためによりピンポイントに必要なことを学びたい
- ビジネスなど一般的な高校で学べないことを学びたい
通信制高校は全日制高校・定時制高校と何が違うの?
通信制高校は全日制高校と具体的になにが違うのでしょうか。
本項では、定時制高校もあわせて、それぞれの違いを見ていきます。
単位制と学年制
通信制高校は「単位制」です。単位制には学年がなく、自分のペースで学習するため毎日の学習時間も自由に決められます。
一方、全日制・定時制高校は学年ごとにカリキュラムを設定する「学年制」が基本(定時制には単位制もあります)。進級には各学年で決まった科目・単位を修得する必要があります。
単位が不足すると留年になり、一度単位修得した科目も再度履修する必要があります。ただし、単位ごとの修得が認められている高校もあります。
単位制・学年制どちらも、高校卒業に必要な単位数は「74単位以上」と定められています。
登校回数(頻度)
通信制高校は登校する回数を自由に設定できます。全日制高校のように毎日登校することが可能な通信制高校もあります。
スクーリング(面接指導)など規定の授業以外はすべてレポート提出という方法も選べます。
ただし科目ごとに、単位の修得に必須のレポート提出回数、スクーリング時間が決められているため、卒業には、条件を満たす必要があります。
特別活動
全日制高校・定時制高校と同様、通信制高校もホームルームなどの特別活動に出席しなければなりません。
最低、30単位時間(1単位時間=標準50分)以上が必要です。
授業方法
授業は通信制高校によって異なりますが、多くは映像授業やオンライン授業、参考書などを用いた自学自習形式です。
学校によりますが、通学・対面授業を選ぶことも可能。またレポート提出回数も単位数として設定されています。
在籍期間
通信制高校の在籍期間は全日制・定時制高校と同じく3年以上です。
学年が無いため留年という考え方はなく、単位を落とした場合は翌年、再履修が可能です。
ただし年間の履修単位数は学校ごとに制限があります。3年で卒業したい場合は計画的に単位修得をしましょう。
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「通信制サポート校」と「技能連携校」とは?
通信制サポート校と技能連携校は通信制高校の支援制度であり、通信制高校とは別の存在です。
通信制サポート校 |
技能連携校 |
|
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単位の取り扱い |
通信制高校の卒業単位への振り替えはできない |
通信制高校の卒業単位への振り替えができる |
入学時期 |
通信制高校の入学と同時 |
通信制高校の入学と同時 |
学習過程 |
単位制 |
学年制 |
卒業までの期間 |
自由 |
3年または3年以上(3年以上は留年) |
立ち位置 |
通信制高校卒業のサポートを行う予備校的な立ち位置 |
文部科学省が認める職業教育を実施施設 |
目的と特徴 |
通信制高校を計画的に卒業するために利用。学校によっては通信制高校では学べない専門的な科目を学ぶこともできる |
技能習得と高校卒業資格を同時に得られる |
通信制サポート校とは|通信制高校に通う生徒を支援する学校
通信制サポート校とは、通信制高校の卒業までのカリキュラムや学習内容、将来設計などについてサポートを行う機関です。
通信制高校は自学自習のシステムのため、以下のような不安を抱えている生徒もいます。
- 「3年できちんと単位を取りたい」
- 「スクーリングやレポート提出を一度でこなしたいができるだろうか」
- 「単位認定試験に合格できるような勉強をしたい」
通信制サポート校はそのような生徒に対して、継続した学びができるように支援を行います。通信制高校に通う生徒専門の予備校のような立ち位置になります。
留意点としては、通信制サポート校だけでは高校卒業の単位が得られないことです。また別途費用がかかります。
技能連携校とは|単位の一部が通信制高校の単位に認められる学校
技能連携校とは、社会に出てすぐに役立つさまざまな分野のスペシャリストを育成する職業教育が中心の機関です。
「技能連携制度」では、通信制高校に通う生徒が技能連携校で教育を受けている場合、単位の一部を通信制の単位に振り替えることが可能です。
注意点として、技能連携校は3年間の学年制のため、通信制高校のように自分のペースで学習することはできません。
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通信制高校に通っているのはどんな人?
通信制高校に通う人は、どんな目的や夢をもっているのでしょうか。
ここでは、通信制高校に通う人の理由を見ていきましょう。
高校卒業資格を得たい人
通っていた高校をやめたり、中学卒業後に就職していたりという生徒が、高校の卒業資格を手に入れるために選ぶケースは少なくありません。
将来に役立つ知識を得たい人・専門的な分野も幅広く学びたい人
例えば、起業したい・投資したいなど、ビジネスに関連する知識や知見がほしい場合、全日制高校では学べる機会が少ないです。
そのような、将来に役立つ知識を得たい人は、興味がある分野を自分のペースで学べる通信制高校を選ぶことで、より早く目標や夢に近づけることになります。
自分のペースで学びたい人
通信制高校は自学自習が特徴です。
自分の生活や興味関心に合わせてコースを選び、自分で必要な単位数を組み込みながらスケジュールを作り、学習します。
スポーツなどに打ち込んでいる人にとっても、自分のペースでコツコツと学ぶことができる通信制高校は向いています。
通信制高校への入学や転入・編入方法は?いつでも入れるの?
ここでは通信制高校への入学時期、転入や編入の方法、それぞれの違いについて説明します。
入学できる時期
通信制高校への新入学時期は通常4月・10月になります。学校やコースによっては随時入学を受け付けているところもあります。
全日制高校や定時制高校のように入学時期が年に一度(4月)だけではないため、思い立った時にすぐ転入・編入ができます。
全日制高校からも転入・編入できる
通信制高校へは全日制高校からも転入・編入できます。ところで、「転入」と「編入」の違いはお分かりでしょうか。
転入と編入の違いは以下のようになっています。
- 転入:在籍校を辞めると同時に別の学校に入学すること
- 編入:中途退学した後、一定の期間を経てから新たに学校へ入学すること
なお、転入か編入かで入学できる時期が異なるため注意が必要です。
転入・編入の入学時期の違い
- 転入:「いつでも可(随時入学可能)」としている通信制高校が多い
- 編入:入学時期を定めている学校が多い
中退後は通信制高校への入学時期が限定され、空白期間ができるおそれがあります。
中退はせず転入するとスムーズに転校できます。
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通信制高校に入学するには何をすればいいの?
通信制高校への入学を希望しても「試験があるのでは?」「入学する資格があるのかな?」と不安になるかもしれません。
ここでは通信制高校に入学するために何が必要かを紹介します。
通信制高校に入学できる基準
ほとんどの通信制高校の入学資格は「中学卒業資格者または中学卒業見込み者」です。
中学校は義務教育なので、中学卒業の年齢に達したほぼ全ての人は通信制高校の入学資格があります。
通信制高校の入試制度|面接が中心
全日制高校と定時制高校では、主に学力を測る筆記試験が入学試験で重視されます。
一方、通信制高校では筆記試験・書類審査・面接・作文など(学校により入試内容は異なる)が課せられます。
プログラミングなど専門技術を学ぶコースでは入試に「技能試験」も課せられることがあります。
通信制高校の入試では、面接での評価も重視されます。
大切なのは「この学校で何をしたいのか」「この学校の学びを将来にどう活かしたいのか」という熱意です。
入試前は志望校のコースを調べ、しっかりと準備しましょう。
通信制高校の学費はどのくらいかかる?就学支援金はある?
ここでは通信制高校の学費について、一般的な相場を解説します。
公立|180円~1200円程度/単位
公立の通信制高校は地方自治体の設置になります。全国で約80校が開設されています。
1単位あたりの学費:180円~1200円程度(地方自治体により異なる)
公立の通信制高校の授業料は、国の就学支援金を利用することで実質無料となるケースがほとんどです。この場合、学費は入学金や教材費などの諸経費を合わせて、おおむね5万円以内に収まります。
私立|5,000~15,000円程度/単位
私立の通信制高校は公立に比べて学費が割高です。
1単位あたりの学費:5,000~15,000円程度(通信制高校により、またコースごとに異なる)
卒業までの費用は総額で40万円~100万円程度が目安です。
ただし、世帯収入によって就学支援金制度が利用できるため、私立の通信制高校でも費用負担を抑えられます。
例えば、世帯年収590万円未満の家庭では私立高校(通信制)の支給上限額が29万7,000円。
そのため、学費が40万円の私立通信制高校に通った場合、実質10万円程度の学費で済みます。
通信制高校のメリット
次に通信制高校のメリットについて説明します。
費用が安い
すでに見たように、全日制・定時制高校と比較してかかる費用が安い傾向があります。ただし学校やコースにより異なります。
単位制のため自分のペースで学べる
学年制ではないため、時間の融通がきき、自分の好きなペースで自由に学べます。例えば働きながら通うことも可能です。
ただし、通学コースを選んだりスクーリングや実習が多い学校では自由度は下がるため、スケジュールを考えて入学する高校を選ぶ必要があります。
全日制高校よりも幅広い学びの環境が得られる
通信制高校では、興味のある分野を卒業に必要な単位から自由に選ぶことが可能。
大学や専門学校、ビジネススクールに近い高度な内容を習得することも可能です。
3年で卒業しなくてもよい
単位制のため留年がなく、3年で必ず卒業する必要もありません。自分の都合に合わせて学習を進めることができます。
通信制高校のデメリットと対策
一方、通信制高校に入学する前に知っておきたいデメリットもあります。
同時に対策も紹介するので、デメリットを解消できるかを考えてみましょう。
自習のモチベーションが必要
通信制高校は毎日通うわけではないため、手取り足取り、担任の先生などがやるべきことを教えてくれるわけではありません。
自ら学習に取り組む姿勢が卒業のためには必須。中には、やる気が続かず途中でやめてしまう人もいます。
対策1. 通学の多い通信制高校を選ぶ
人に会って励まし合うこと、友達を作って楽しめる環境にすることでモチベーションは上がります。
対策2. 通信制サポート校を利用する
サポート校には、学習をサポートするほか、スケジュール管理・メンタルケア、新たな学びの提供などさまざまな支援策を用意している学校もあります。
人と会える機会、イベント参加が少なくなる
一般的に通信制高校は通学頻度が少なく、スクーリングと特別活動以外は登校不要のケースもあります。
イベント参加や部活参加などができず寂しい思いをするかもしれません。
対策1. 通学頻度が多い高校、部活動などのある高校を選ぶ
最近は文化祭や体育祭のある通信制高校も増えています。また学校によってはクラブ活動もあります。
友達との交流がしたい場合、そのような通信制高校を選んでみましょう。
対策2. 通信制サポート校での出会いを利用する
通信制サポート校によっては「学び合い」を掲げているところもあります。
さまざまな人と出会い一緒に学んでいくことで、楽しみながら充実した高校生活を送れるようになります。
通信制高校ではどんな学校生活を送っているの?
自由度が高い通信制高校では生徒によってカリキュラムは異なります。
一律に時間割が決められることもなく、完全通学型を選ばなければ毎日登校する必要もありません。
それだけに、通信制高校の生徒たちが具体的にどんなスケジュールで学習を進めているのか気になりますよね。
ここでは通信制高校ではどのような学校生活を送れるのか紹介します。
一般的な通信高校における学習の中心はレポート提出
一日のスケジュールは生徒ごとに異なるため、ここでは一般的な学習の流れを解説します。
また以下の3つは単位を修得するために必要な課題となっており、一つでも欠けると卒業の要件は満たせません。
レポート提出・添削指導
通信制高校の学習は基本的に自習です。その中心はレポート提出となります。毎日の学習スケジュールはレポート提出の期日を元に作成するのが一般的です。
レポートは、問題集形式が多いです。学習した内容が理解できているか、教師は提出されたレポートで判断します。
またこのレポート提出は単位認定試験を受験する条件のため、提出は必須です。
スクーリング(登校・面接指導)
通信制高校は基本的に自習で授業はオンラインや映像授業です。ただし通学が必要なスクーリングと呼ばれる形式の授業もあります。
教師に学習内容を質問できるほか、特別活動(ホームルームなど)への参加、選択しているコースによっては実習授業などもあります。
スクーリングの回数(頻度、登校日数)は学校ごと、生徒の選択したコースごとに異なります。
前もって必要な回数を知っておき、自分の卒業までのスケジュールに組み込んでいかなければなりません。
単位認定試験
通信制高校のテストを「単位認定試験」とも呼びます。卒業のための単位修得にはこのテストを受けることが必須です。
またテストを受けるためにはレポート提出とスクーリングを規定の回数こなしておく必要があります。日々、コツコツと勉強しておくことが大切です。
▲通信制高校とサイル(サポート校)に通う生徒のスケジュール例
通信制高校でもイベントやクラブ活動は盛ん!
通信制高校だから自宅で勉強するだけ、スクーリングで通学するだけと思っていませんか。
通信制高校も、実は文化祭や体育祭などのイベントが盛んです!
専門技能を学ぶコースなどでは校外学習や職業体験講習などもあり、同じ目標に向かって通う生徒たちと交流しながら学びを深めることができます。
またクラブ活動がある学校も多くあります。イベントではありませんが、制服がおしゃれで可愛い学校もあります。
入学前にパンフレットなどで確認し、どのような学校生活が送れるかイメージを膨らませてみてください。
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通信制高校の卒業時期と卒業に必要な要件
通信制高校で卒業するための要件について説明します。
卒業に必要な単位数|74単位
通信制高校を卒業するために必要な単位数は、必履修科目を含み74単位以上と定められています。
また特別活動は30単位時間以上が必修です。
卒業に必要な在籍期間|3年以上
卒業のためには36カ月、すなわち3年以上必要の在籍が必要とされています。
通っていた高校の単位は有効?
転入・編入の場合、以前在籍していた高校で「修得済」の単位はそのまま通信制高校でも単位として認められます。
自分がどの単位を履修済みなのか、入学前に知っておく必要があります。
まとめ:通信制高校は「自分らしい学校生活」のための1つの選択肢
通信制高校について少しでも疑問点は解消したでしょうか。
通信制高校は、時間を自由に使えたり、自分のペースで勉強したり、専門的なことを学べたりする「新しい学びの形」を提供する高校です。
「全日制高校に行くのが当たり前」と考えている人もまだまだ世の中には多いですが、ITの発達や社会構造の変化に伴い、人々の価値観は多様化しています。
中学生、高校生でも自分らしい学び方、生き方を選んでいい時代が来ています。そのひとつの選択肢が、通信制高校です。
通信制高校へ通いあなたらしい学びの機会を得て、社会へ大きくはばたくきっかけとしてください。
(デザイン:山本 香織)