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通信制高校の入試において、志望動機は重要です。
通信制高校では学力試験よりも「なぜこの学校で学びたいのか」という理由が重視されるためです。
「どのように書けばいいのか分からない」「不登校経験がある場合はどう伝えればいいのか」など、不安を感じている人も多いでしょう。
でも心配いりません。書き方のコツを知れば、自分の思いを上手に伝えることができます。
進路相談のプロ
本記事では、通信制高校の入学や転入を考えている高校生の方へ、進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下が、状況別で志望動機の例文と、書き方の7つのポイントを紹介します。これから通信制高校の受験を考えている方は参考にしてください。 |
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
【状況別】通信制高校の志望動機例文
通信制高校への進学理由は人それぞれです。ここでは、状況別に志望動機の例文を紹介します。
紹介する例文は「志望理由→経験や現状→目標→将来展望」という基本構成に沿って書かれています。
例文を参考にしながら、自分の状況に合わせて作文してみましょう。
不登校経験がある場合
不登校を経験している場合、その経験を前向きに書くことが大切です。
「学校に行けなかった」というネガティブな表現より、「これから頑張りたい」という意志を強調しましょう。
例文「私がこの学校を志望した理由は、自分のペースで着実に学習を進められる環境が整っているからです。中学時代、私は人間関係のストレスから不登校を経験しました。教室という空間が苦手でしたが、家庭での学習を続けてきました。その経験から「自分にあった環境で勉強したい」と考えるようになりました。
自分のペースで学べる環境を探して、○○高校に出会いました。オンライン授業と対面授業を組み合わせた、柔軟な学習システムに魅力を感じています。スクーリングも少人数制で、一人ひとりに合わせたサポートが充実しており、安心して学校生活を送れると考えています。
入学後は、基礎学習はもちろんのこと、得意な英語をさらに伸ばし、将来は語学力を活かした仕事に就きたいです。大学進学も視野に入れ、夢の実現に向けて努力しようと思っています。」
不登校の経験に触れつつも、その後の努力や前向きな気持ち、具体的な目標を示すことで、学校側にも意欲が伝わる志望動機となります。
体調面での理由がある場合
体調面の理由で通信制高校を選択する場合、現在の状況を正直に伝えながら、学習への意欲も示すことが大切です。
学校側は適切なサポート方法を考えるため、状況を把握したいと考えています。
例文「私がこの学校を志望したのは、体調に配慮しながら学業を続けられる環境が整っているからです。私は起立性調節障害により、朝型の生活リズムを保つことが難しいです。そのため、自分の体調に合わせて学習時間を設定できる通信制高校での学びが向いているのではないかと考えました。
○○高校では、オンデマンド形式の授業を取り入れており、体調の良い時間帯に学習を進められることに魅力を感じました。また、スクーリングの日程も選択でき、無理のない形で学校生活を送れると考えています。
入学後は、基礎的な学力を身につけながら、特に興味のある生物の勉強に力を入れたいです。医療や健康に関する知識を深め、将来は自分と同じように体調面で悩む人たちをサポートできる仕事に就くことが目標です。」
体調面での理由を志望動機に書く場合は、自分の状況を理解した上で前を向いて頑張ろうとする姿勢が伝わるよう心がけましょう。
部活動や趣味と学業の両立を目指す場合
部活動や趣味と学業の両立を目指す場合は、部活動・趣味に対する熱意を具体的に示しましょう。
例文「私がこの学校を志望したのは、○○選手としての活動と学業を両立させながら、将来の目標に向かって進みたいからです。小学生の頃から続けている○○では、全国大会出場を目指して毎日練習に励んでいます。この夢を諦めることなく、同時に学業も手を抜かず取り組みたいです。
○○高校の柔軟な学習システムであれば、練習時間を確保しながら、自分のペースで学習を進めることができます。また、スポーツ特進コースがあり、競技と学業の両立をサポートしてくれる体制が整っていることも、○○高校を選んだ理由です。
入学後は、練習の合間を有効に活用して計画的に学習を進め、英語力を伸ばしていきたいと考えています。将来はスポーツトレーナーになることが夢なので、大学進学も視野に入れて頑張っていきたいです。」
自分の活動と学校の特徴を具体的に結びつけ、明確な目標を示すことで、学習への意欲が伝わる志望動機になります。
学び直しを希望する場合
学び直しが志望動機となる場合は、「なぜ学び直したいと考えたのか」、「今後どのように学んでいきたいのか」を具体的に書くことが重要です。
例文「私が○○高校を志望したのは、基礎から学び直し、将来の可能性を広げていきたいからです。中学時代は学習についていくことができず、特に数学と英語に苦手意識を持ってしまいました。しかし働く中で、きちんと勉強し直したいという思いが強くなりました。
この学校では、一人ひとりの理解度に合わせた丁寧な指導があり、ここなら自分も頑張れると確信しました。また、個別指導の時間も充実していることから、苦手科目を克服できる環境が整っていると感じています。
入学後は、苦手な数学と英語の基礎力向上に力を入れ、学年相応の学力を身につけていきたいです。将来は専門的な資格も取得して、事務の仕事でスキルアップを図りたいと考えています。1つ1つ着実に学んでいき、必ず高校卒業という目標を達成したいです。」
これまでの経緯を正直に書きながらも、具体的な目標を示すことがポイントです。
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
志望動機の書き方|7つのポイント
ここでは、通信制高校に合格しやすい志望動機を書くための7つのポイントを解説します。
1. 書く前に志望校の情報を収集する
通信制高校の志望動機を書く上で、志望校の情報収集は欠かせません。
学校のことをよく理解していないと、「なぜその学校を選んだのか」という理由を具体的に説明できないからです。
学校の公式サイトやパンフレットで基本的な情報を確認しましょう。
✓情報収集のチェックポイント
- カリキュラム
- スクーリング(登校)の頻度や方法
- 学習システムの仕組み
- 部活動や特別活動の内容
- 進学実績や就職状況
- サポート体制の特徴
多くの通信制高校では学校説明会やオープンキャンパスを開催しています。 学校の雰囲気や先生方の様子を実際に体感できるのでおすすめです。
説明会では個別相談を実施していることも多いため、不安に思っていることや気になる点を直接質問できます。
魅力を感じた点、惹かれた点を具体的にメモしておくと、志望動機を書く際に役立つでしょう。
2. 自分の思いを正直に伝える
通信制高校の志望動機を書く上で大切なのは、自分の気持ちを素直に表現することです。
通信制高校の先生は、受験生一人ひとりの状況や思いを理解したいと思っています。
だからこそ、型にはまった文章や、どこかで見聞きしたような言葉ではなく、自分の言葉で、「なぜ通信制高校で学びたいのか」を伝えることが大切なのです。
不登校経験があっても隠す必要はありません。むしろ、今の状況を正直に伝えることで、より説得力が増します。
ただし、過去の辛い経験や悩みばかりを強調するのは避けましょう。
過去の経験を踏まえて「これからどうしていきたいか」という前向きな気持ちを中心に書くことが重要です。
3. ポジティブな印象を残す
通信制高校の志望動機を書く際には、前向きで積極的な姿勢をアピールしてください。
例えば、以下のような前向きな理由を中心に書くことをおすすめします。
✓ポジティブな志望動機の例
- 自分のペースで着実に学習を進められる
- 時間を有効に使って資格取得にも挑戦できる
- 学校の特色あるカリキュラムで将来の夢に近づける
- 自分に合った学習スタイルで確実に力をつけていける
- 両立したい活動と学業を無理なく進められる
「親に言われたから」「全日制に行けないから仕方なく」といった受け身な理由は避けましょう。
不登校経験がある場合でも、「学校に行けなかったから」という消極的な理由ではなく、「自分のペースで学べる通信制なら、しっかりと学習を継続できる」などのように、前向きな表現に置き換えられます。
「この生徒は意欲的に学んでくれそうだ」という良い印象を残せるなら、合格の可能性が高まるでしょう。
4. 入学後のイメージを明確に
通信制高校の志望動機を書く際には、入学後の具体的なイメージを示すことが重要です。
「頑張りたい」のような漠然とした表現ではなく、具体的な目標や計画を書くことで、学習意欲を伝えられるでしょう。
✓入学後の具体的な目標の例
- 苦手科目の克服
- 資格取得にチャレンジする
- 部活動や特別活動に参加する
- 新しい友達を作る
- 大学進学や就職などの進路目標
- 将来の夢や目標に向けた準備
自分が本当に実現したい2~3個の目標に絞って、具体的に書くようにしましょう。
「なぜその目標を持っているのか」「どのように実現していきたいのか」まで説明できると、より説得力のある志望動機になるはずです。
5. 学校の特徴と自分の目標を結びつける
志望校の特徴と自分の目標を具体的に結びつけることも大切です。
学校の特徴を分析したうえで、自分が「学校を選んだ理由」がはっきり分かるように書きましょう。
- 少人数制の授業 → 集中して学習に取り組みたい
- 個別指導 → 苦手な科目を克服したい
- オンライン授業 → 自分のペースで学習を進めたい
- 充実したサポート体制 → 学習面や生活面で不安がある
- 自由な校風 → 自分の個性を活かしたい
- 特定の分野に特化したコース → 専門知識を深めたい
- 部活動が盛ん → 文武両道を目指したい
学校の特徴と自分の目標を結びつけて説明することで、強い入学意欲をアピールできるでしょう。
6. NG表現や内容を避ける
通信制高校の志望動機を書く際には、避けるべき表現や内容があります。
✓志望動機で避けるべきNG表現や内容の例
- 誤字脱字、句読点の誤り
- インターネットからのコピペや他人の文章の盗用
- ネガティブな表現や他校を批判する表現
- 「頑張ります」などの漠然とした表現
- くだけすぎた表現
志望動機を作成する際は、字数制限があるなら必ず守りましょう。書きたいことがたくさんあっても、要点をしぼって字数内に収めることが大切です。
せっかくの内容も、誤字脱字があると印象が悪くなるため、提出前に何度も見直しして、間違いがないか確認してください。
自分では気づかない誤りや改善点を発見するために、提出前に家族や先生にチェックしてもらうのも良い方法です。
7. 面接でも同じ内容を話せるよう準備する
多くの通信制高校では、入学選考に面接が取り入れられています。
面接では、提出した志望動機の内容について質問されることが多いため、作文に書いた内容を自分の言葉で話せるように事前にしっかりと準備しましょう。
志望動機に書いた内容を簡潔に説明できるようにしたり、要点を箇条書きでメモしたりすることができます。
通信制高校の面接では、志望動機以外にも、以下の様な質問をされることがあります。
✓面接でよくある質問の例
- なぜ通信制高校を選んだのですか?
- 全日制高校ではなく、 通信制高校を選んだ理由は何ですか?
- 〇〇高校を選んだ理由は何ですか?
- 入学後にどのような学習計画を立てていますか?
- 将来の夢や目標は何ですか?
- あなたの強みと弱みは何ですか?
- 学校生活で何を期待していますか?
- 部活動には参加しますか?
完全に原稿を暗記する必要はありませんが、要点を押さえて自分の言葉で説明することが大切です。
面接では緊張して言葉が詰まることもあります。家族や先生の協力を得て、実際に質問されることを想定した練習をしておきましょう。
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
通信制高校合格につながる志望動機を書こう
通信制高校の志望動機を書く際に大切なのは、形式的な文章ではなく、自分の言葉で思いを伝えることです。
紹介した例文を参考に、自分の状況に合った志望動機を作成してみましょう。
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この記事を書いた人

サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。福岡県福岡市在住。一児の父。株式会社13歳からの進路相談 代表取締役社長。著書『13歳からの進路相談』シリーズは続々と重版され、全国の学校や市区町村の図書館で多数採用されている。
学生時代は早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値を基準に進路を選び後悔した経験をきっかけに、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げる。これまでに寄せられた中高生からの相談は10万件を超える。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社・才流(サイル)で勤務。
2022年に同社の子会社を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分に合った進路を選べる社会を目指し、「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。全国から入学・転校生を受け入れ、高校卒業だけではなく、その先のキャリア支援も行っている。
著書:『
13歳からの進路相談(すばる舎)』、『
13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』
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