全日制高校へ転校したい!公立・私立の転校手続きや疑問点を解説サムネイル画像

全日制高校へ転校したい!公立・私立の転校手続きや疑問点を解説

記事を読むのにかかる時間 3分


現在の全日制高校から、他の全日制高校へ転校したい

転校のために、具体的に何をすればよいかわからない

このようにお考えでしょうか。

全日制高校に転校するためには、転校条件をクリアし、手続きをしていかなければなりません。

 進路相談のプロ

本記事では全日制高校へ転校する際のよくある疑問や具体的な手続きについて進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下が解説します。

また、全日制高校以外の選択肢として、通信制高校の魅力もご紹介します。

【高校を転校したい方へ】

目次[非表示]

  1. 1.全日制高校へ転校したい!よくある3つの疑問点
  2. 2.全日制高校への転校手続き 6ステップ
  3. 3.通信制高校も選択肢に入れるべき3つの理由
  4. 4.通信制高校へ転校したらどうなる?全日制高校との違いは?
  5. 5.まとめ

全日制高校へ転校したい!よくある3つの疑問点

全日制高校への転校に関して、よくある3つの疑問点について解説していきます。

全日制高校に転校する際のよくある疑問

どの高校も転校生を受け入れてくれる?

結論として、全ての全日制高校が転校生の受け入れを行っているわけではありません。欠員のある高校のみ、転校生を募集します。

希望の高校に転入枠(転校生の募集枠)があるとしても、数名のみです。倍率が高ければ、希望校に入学できるとは限りません。

よって、複数の高校を受験できる都道府県であれば併願したり、私立高校も受験したりしましょう。

1つの高校にこだわらないことが大事です。

転入の募集はいつ行われる?

公立高校の募集は、学期ごとに行われるのが一般的です。

公立高校の転校スケジュール例(東京都の場合)
 
第一学期
第二学期
第三学期
募集状況の発表
3月上旬
7月上旬
11月下旬
入学願書の受付
3月中旬
8月上旬
12月上旬

検査日

3月中旬
8月中旬
12月上旬

入学の時期

学年の初め
第二学期の初め
第三学期の初め

抜粋:「都立高等学校の転学・編入学について」東京都教育委員会

私立高校は、月初めの募集や随時入学可能な学校もあります。

全日制高校の転校に条件はある?

希望する高校に欠員がある、転入試験に合格する以外の条件として、公立・私立ともに「本人と保護者の住所が入学日までに志望校のある都道府県内にある」ことが必要です。

現在、希望校と同じ都道府県に住所がある場合は転居の必要はありません。

しかし「隣の都道府県の高校へ転校したい」という場合は、家族での引っ越しが必要になります。

なお、特別の事情があれば、父母のどちらか一方と同居できなくても、出願が認められる場合があります。

check特別の事情の例

  • 介護
  • 病気療養
  • 出産
  • 離婚調停中
  • 海外赴任

全日制高校への転校手続き 6ステップ

全日制高校へ転校には、下記6つの手順を踏まなければなりません。

	全日制高校への転校手続き 6ステップ

1つずつ確認していきましょう。

ステップ1. 受け入れ先の高校を探す

公立高校の場合は、以下の方法で受け入れ先を探します。

check欠員のある高校の探し方

  • 在学中の高校の進路指導担当の先生から情報を得る
  • 都道府県教育委員会のホームページ上で探す
  • 志望校に問い合わせる

私立高校は、都道府県私学協会に問い合わせます。

check問い合わせ時に確認するポイント

  • 試験日時
  • 試験内容
  • 面接の有無
  • 出願の流れと費用
  • 入学願書、転学照会書など必要書類について

ステップ2. 在学中の高校に転校の希望を伝える

担任の先生に転校の希望を伝えましょう。単位や出席状況の確認など、学校側は転校手続きの準備に入ります。

希望を伝えるときに転校先となる志望校を一緒に伝えると、自分の転校に対する本気度が伝わります。

できるだけ志望校は事前に決めておきましょう。相手側の高校に連絡を取ってもらえ、必要書類の準備がスムーズに進むことが多いです。

ステップ3. 志望先に単位照合を依頼する

出願前に、志望校への単位照合が必要です。

単位照合とは、修得済の単位と志望先のカリキュラムを照合し、卒業までに必要な単位が取れるかどうか確認することです。

志望先の校長が「卒業できる単位を転校後に修得できる」と認めれば、出願が可能になります。

ステップ4. 在学中の高校に出願書類を依頼する

出願が認められれば、入学願書を取り寄せ必要書類を確認します。在学中の高校が作成する書類は早めに依頼しましょう。

check高校に作成を依頼する書類の例

  • 転学照会書
  • 在籍証明書
  • 単位修得証明書・成績証明書

ステップ5. 入学を希望する高校に出願する

一般的には下記の出願書類が必要です。

  • 入学願書
  • 住所を証明する書類(転居する場合は住居の契約書の写しなど)
  • 転学照会書
  • 在籍証明書
  • 単位修得証明書・成績証明書

願書の受付締切日に間に合うよう、余裕をもって準備しましょう。

ステップ6. 転入試験に合格したら、入学手続きを行う

晴れて合格したら、入学先の学校の指示に従って入学手続きを行いましょう。

check主な入学手続き

  • 入学金・学費の納入
  • 契約書・同意書の提出

【高校を転校したい方へ】

通信制高校も選択肢に入れるべき3つの理由

全日制高校への転校だけではなく、通信制高校への転校も考えてみませんか。

ここからは通信制高校も選択肢に入れるべき3つの理由を解説していきます。

通信制高校とは?授業内容・学費・メリットをわかりやすく解説

全日制高校への転校は狭き門

全日制高校への転校は難しいです。

募集人数は若干名のため倍率は高く、不合格になる可能性もあります。

なお、全日制高校の転入試験は、一般的に国語・数学・英語の学力試験および面接です。

過去の試験問題は、志望校に依頼すれば入手できます。しかし合格基準点の公表はされておらず、試験対策は難しいのが現状です。

関連記事:全日制高校への転校は難易度高め - 転校の条件や手続きを解説

通信制高校は学力試験がない学校がほとんど

一方、通信制高校は学力試験の代わりに、面接と作文のみで合否を判断することが多いです。

面接で聞かれやすいことは下記のとおりです。事前に考えをまとめておきましょう。

  • 自己紹介
  • 志望理由
  • 高校で学びたいこと
  • 中学時代に経験したこと
  • 趣味
  • 将来、何をしたいか

関連記事:全日制から通信制の転校が不安な方へ|転入のメリット・手続きを解説

通信制高校は随時募集を行っている

全日制高校は学期ごとの募集です。

転校のタイミングは年3回しかなく、今すぐ転校したい人にとっては、学校生活がつらく長いものに感じられるでしょう。

一方通信制高校は、随時募集を行っている学校が多いです。自分のタイミングで転校できるので、すぐに新たな環境でスタートを切れます。

【高校を転校したい方へ】

通信制高校へ転校したらどうなる?全日制高校との違いは?

通信制高校は全日制高校と同じ高校卒業資格が取れますが、通学回数や単位の取り方は異なります。

通信制高校とは?授業内容・学費・メリットをわかりやすく解説

また進学や就職事情がどうなのか気になりますよね。ここからは通信制高校と全日制高校との違いを解説します。

通信制高校と全日制高校の違い

通信制高校は登校回数が少ない

通信制高校の登校は「スクーリング」と呼ばれます。

通信制高校はオンライン面談や映像授業の受講がスクーリングと認められるため、必要最小限の登校で済みます。

公立の通信制高校は週1回のスクーリングが多いようです。

一方、私立の通信制高校のスクーリングは「通学型」と「集中型」から選べます。

  • 通学型:週3回、毎日など定期的にスクーリングをする
  • 集中型:夏季や冬季にまとめてスクーリングをする。合宿形式で行う高校もある。

通学型は生活リズムが整いやすく、友達ができやすいというメリットがあります。

また集中型は、趣味やアルバイトなど自分の時間が取りやすくなるのがメリット。自分で学習スケジュールを立てて自学自習ができる人に向いています。

全日制高校の週5日・朝から夕方までの授業時間を思えば、通信制高校は精神的・肉体的にも楽に感じられるでしょう。

【生徒のインタビューを見る】通信に入ってから「メンタルヘルスが半端じゃないほど良い!」と語る理由とは?

通信制高校は学年制ではなく「単位制」

全日制高校と通信制高校は、単位の修得方法が異なります。

check全日制高校は「学年制」が多い

  • 学年ごとに修得しなければならない単位数が決まっている
  • 1つでも単位を落とすと進級できない(=留年)
  • 学期末の試験結果と出席日数によって取得単位が決まる

check通信制高校は「単位制」が多い

  • 高校3年間をかけて卒業要件の74単位を取ればよい
  • 留年という概念がない
  • レポート・スクーリング・テストの3つにより単位認定される

通信制高校は自分でカリキュラムを組むため、一人ひとりのペースで学習を進められます。

学校によって決められたカリキュラムをこなす全日制高校より、自由度が高いと言えるでしょう。

通信制高校では好きな専門科目が学べる

通信制高校は、将来の夢に直結したことが学べる「専門コース」を設置している学校もあります。

check専門コースの科目例

  • ビジネス
  • 美容
  • 調理
  • イラスト
  • 声優
  • アニメ
  • eスポーツ
  • プログラミング
  • デザイン
  • スポーツ
  • 大学進学

在学中に資格を取れるコースもあります。卒業後にはスキルを活かして活躍できる場合もあります。

現在学びたいことがある人、将来やりたいことが決まっている人に、多くの経験が積める通信制高校はおすすめです。

【生徒のインタビューを見る】「環境問題、人権、ジェンダー…。通信に通いながら、自分にとって重要なテーマを学べた」

大学の進学率は全日制高校の方が高い

大学と専修学校の進学率を見てみましょう。

 
大学
専修学校 (一般・専門課程の合計)
通信制高校
23.1%
25.5%
全日制高校
59.4%
20.5%

抜粋:「令和4年度学校基本調査 高等学校 281 状況別卒業者数(全日制)」「令和4年度学校基本調査 高等学校 295 状況別卒業者数(通信制)卒業後の状況調査」文部科学省

大学進学率に関しては通信制高校の方がかなり低くなっています。

しかし、通信制高校の中には東大を始めとする難関国立大学や、早稲田大学や慶應義塾大学、医学部などに進学実績がある学校も。

大学への指定校推薦がある通信制高校もあるので、探してみるとよいでしょう。

通信制高校から大学進学するためには、大学受験コースがある学校や、進学塾と提携している学校に入学するのがおすすめです。

check大学受験コースがある通信制高校に行くメリットの例

  • プロの予備校講師の講義が受けられる
  • 最新の受験情報が得られる
  • 疑問点にすぐ答えてもらえる
  • 大学受験をする友人ができ、モチベーションが保ちやすい など

大学合格はどれだけ勉強に多くの時間を割けるかが勝負です。

全日制高校と比べて、時間の融通がきく通信制高校は、合格を達成しやすいでしょう。

関連記事:「通信制高校 人生終わり」の理由は?後悔しないためにやるべきことも紹介

就職率は全日制と通信制はほぼ同率

通信制高校は就職に不利だと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、文部科学省のデータによると、就職率は全日制高校と通信制高校はほぼ同率です。

  • 全日制高校:15.7%
  • 通信制高校:16%

抜粋:「令和3年度学校基本調査 卒業後の状況調査」文部科学省

通信制高校の専門コースで実務的な知識や技術を身につけたり、資格を取ったりすると、強いアピール材料になります。

就職ガイダンスなど個別相談などがある通信制高校を選べば、困ったときにサポートしてもらえるので就職に関して不安になることはありません。

関連記事:通信制高校からの就職は難しい?就活を有利にする4つのコツを解説

高校を転校したい方へ

各都道府県や私立学校では転校制度が準備されてあるため、他の全日制高校へ転校することは不可能なことではありません。

しかし、募集人数は限られている、学力試験があるなど、全日制高校への転校はハードルが高いと言えます。

通信制高校は、転校の条件が厳しくないため、学校を替えたい方にはおすすめです。

通信制高校を探すなら【サイル学院の資料請求】がおすすめです。

資料請求いただいた方には、サイル学院の学校案内資料に加えて、通信制高校や進路の選び方がわかる資料もプレゼント中です。

「通信制高校のルールがわからない…」

「種類が多すぎてどれを選べばいいか迷う…」

「サイル学院と他校との違いを知りたい」

などの疑問や不安は、サイル学院の資料請求で解決できます。

資料は未成年の方・生徒ご本人も請求いただけます。お気軽に請求ください。

【高校を転校したい方へ】

この記事を書いた人

サイル学院中等部・高等部 学院長
松下 雅征/Matsushita Masayuki
サイル学院中等部・高等部 学院長

1993年生まれ。1児の父。学生時代は早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は10万件以上。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社の才流(サイル)で勤務。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して「 サイル学院高等部(通信制)」を創立。2023年、同校の中等部を創立。著書「 13歳からの進路相談」(すばる舎)。進路選択をテーマにした講演・イベントの登壇実績多数。