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「通信制高校を卒業した後の進路が不安」
このように悩んでいませんか。
通信制高校に入っても、進路未定(進路が決まらない)になってしまうのではないかと不安な方もいるでしょう。
このような進路の悩みを解決する一番の方法は、文部科学省の学校基本調査など信頼できるデータを参照することです。
進路相談のプロ
本記事では、進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下が、データから分かる通信制高校の進路を解説。進路未定を避ける3つのポイントも紹介するので、参考にしてください。 |
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
目次[非表示]
データから分かる通信制高校の進路
以下の表は、文部科学省の調査に基づいて、令和4年に通信制高校を卒業した方の進路の割合を表したものです。
大学進学 | 24.1% |
専修学校 | 22.7% |
就職 | 19.3% |
進路未決定 | 31.5% |
出典:文部科学省「学校基本調査」(令和5年版)
それぞれの進路について、データをもとに解説します。
大学進学
学校基本調査によれば、通信制高校における大学進学率は24.1%で、全日制高校の61.6%と比較すると大きな開きがあります。(*1)
この結果を見て「通信制高校は大学進学に不利」と感じる方もいるでしょう。
しかし、これは誤りです。
一般的に、全日制高校の生徒のほうが大学へ進学する傾向にあり、通信制高校に入学する方は就職など別の進路を選ぶ傾向にあります。
このため、進学率に開きがあるのです。
通信制高校から大学進学を選ぶ人の割合は年々上昇しています。
令和元年の大学進学率17.6%に比べ、近年では大学進学率が上昇傾向にあることが分かります。(*2)
卒業生に関する進路データ(*3)によれば、卒業時の進路として大学進学を選ぶ人の割合が最も多くなりました。
大学 | 33.3% |
短期大学 | 3.0% |
専門学校 | 28.7% |
公共職業訓練校 | 1.2% |
就職 | 17.4% |
留学 | 1.1% |
進路未定 | 15.3% |
これらのデータから、通信制高校卒業後の進路として、大学進学が有力な候補であることが分かります。
*1 文部科学省「学校基本調査」(令和5年版)
*2 文部科学省「学校基本調査」(令和2年版)
*3 新しい学校の会 第3回 通信制高校卒業生 アンケート調査報告(2021年度) P4
専修学校
学校基本調査では、専修学校(専門学校・各種スクール)への進学は22.7%。(*1)
通信制高校卒業生の進路として、大学進学と並ぶ主要な選択肢となっていることが分かります。
一方で、専門学校を中途退学する人も少なくありません。新しい学校の会の調査では、2021年度の専修学校進学者のうち、11.6%が2年後に退学しています。(*2)
一般的な専門学校退学率は6~7%なので、これは平均の2倍程度です。
専修学校退学者の進路は以下の通りです。
在学中 | 10.9% |
在職中 | 13.0% |
アルバイト | 39.1% |
求職・訓練中 | 4.3% |
何もしていない | 26.1% |
その他 | 6.5% |
退学した方の10.9%の進路は「在学中」となっており、学習する分野を変えて専門学校などに進学し直している方もいるようです。
また、56.4%の方が「就職」「アルバイト」「求職・訓練中」であり、働くことを選んでいる方も少なくありません。
これらのデータから、通信制高校卒業後の進路として、専修学校を選ぶ際には、自分に合った学習分野を学べる教育機関を選ぶ必要があることが理解できます。
*1 文部科学省「学校基本調査」(令和5年版)
*2 新しい学校の会 第3回 通信制高校卒業生 アンケート調査報告 P5
就職
学校基本調査では、通信制高校卒業生の就職率は19.3%で、全日制高校の14.0%を上回っています。(*1)
これは通信制高校が、働きながら学ぶ生徒や働くことに関心が高い生徒を多く受け入れている特徴を反映していると言えるでしょう。
新しい学校の会の調査では、2021年に通信制高校を卒業して就職した方の定着状況が分かります。(*2)
在職中 | 78.8% |
退職した | 21.2% |
追跡調査では78.8%が「在職中」を継続しており、比較的高い定着率を示しています。
これは一般的な高卒就職者の3年以内離職率37.0%(*3)と比較しても良好な状況です。
通信制高校では、就職ガイダンスや就労支援が充実している学校が多いです。進路サポートを十分に活用するなら、就職面で不利な状況になることは少ないでしょう。
*1 文部科学省「学校基本調査」(令和5年版)
*2 新しい学校の会 第3回 通信制高校卒業生 アンケート調査報告 P6
*3 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和2年3月卒業者)
進路未定
学校基本調査によると、進路未定者の割合は31.5%と、全日制高校の4.3%と比べて著しく高い水準となっています。(*1)
これは約3人に1人が明確な進路を決められないまま卒業していることを意味します。
新しい学校の会の調査では、2021年に通信制高校を卒業した進路未定者のうち45.5%が「アルバイト」、35.2%が「何もしていない」状態にあることが明らかになっています。(*2)
深刻なのは、「何もしていない」状態が固定化する傾向です。
「何もしていない」と返答した方をさらに2年追跡した調査によると、64%の方が「何もしていない」状態を続けていることが分かりました。
在学中 | 0.0% |
在職中 | 0.0% |
アルバイト | 0.0% |
浪人生 | 18.7% |
病気療養 | 10.7% |
何もしていない | 64.0% |
その他 | 6.7% |
人と接することが苦手だったり、就職活動に失敗したりしたことが、進路未定から抜け出せない原因になっている人もいるようです。
これらは、通信制高校在学中に十分な進路サポートを受ける必要性を裏付けるデータとなっています。
*1 文部科学省「学校基本調査」(令和5年版)
*2 新しい学校の会 第3回 通信制高校卒業生 アンケート調査報告 P3
通信制高校の「進路未定」を避ける3つのポイント
通信制高校卒業後に、進路未定(進路が決まらない)を不安に思う生徒は少なくありません。
進路未定には、さまざまな要因が関係しています。以下は、高校生に進路選択に関する気がかりを尋ねた調査結果です。
学力が足りないかもしれない | 58.4% |
自分に合っているものがわからない | 38.3% |
やりたいことが見つからない、わからない | 32.7% |
社会に出ていく能力があるか自信がない | 24.9% |
知りたい情報を集めたり、選んでいく方法がわからない | 20.4% |
自分で決断する自信がない | 17.2% |
経済的な理由で自分の希望がかなわないかもしれない | 12.9% |
その他 | 1.7% |
出典:(社)全国高等学校PTA連合会・(株)リクルート「高校生と保護者の進路に関する意識調査」(2007)
卒業後の進路に関して漠然とした不安を解決できない場合、何から始めて良いかわからなくなり、進路未定になってしまう可能性があります。
ここでは、通信制高校生が進路未定を避けるために実践できる3つのポイントを紹介します。
1. 自己理解を深める
進路を決める上で最も重要なのは、「自分はどんな人か」「どうしたいか」という問いに向き合うことです。
自分を深く理解するために、例えば次の3つの方法があります。
✓自己理解を深める方法
- 自己分析する
- 周囲の人から特性を教えてもらう
- 自分を理解するためのテストを活用する
まずは、自己分析するために、将来の夢や目標、興味のあること、得意なことなどを書き出してみましょう。
親や先生など周囲の人と進路の話をすることで、自分では気づかなかった自分の特徴に気づけることがあります。
自分に合った進路を探すための適性検査・テストを活用することもできます。
厚生労働省編一般職業適性検査(GATB) | 15種類のテストで9つの能力を測定。スト結果から、自分がどんな仕事に向いているかが分かる |
YG性格検査 | 120個の質問に答えることで性格を12の特性で分析できる |
エゴグラム | 50~60個の質問に答えて、自分の行動パターンを分析。5つの自我状態(CP, NP, A, FC, AC)を測定 |
キャリア・インサイト | 職業に関する興味や価値観、自分の能力について回答することで、自分に合う職業や進路のアドバイスがもらえる |
職業レディネス・テスト(VRT) | 6つの職業領域(現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的)から自分に合う職業分野が分かる |
複数のテストを組み合わせることで、より総合的に自分を理解できるようになります。
ただし、テストの結果は参考程度に考え、最終的な進路決定は、自分の意思や興味、将来の目標などもに合わせて総合的に判断することが大切です。
2. 徹底的な情報収集
これまで見てきたように、通信制高校生の進路には、大学や専門学校への進学、就職など、さまざまな選択肢があります。
進路未定を避けるためには、各選択肢について詳細に調べ、自分の興味や適性に合う進路を見つけることが大切です。
通信制高校に通っている場合、直接的な情報交換の機会が少ない分、より積極的な情報収集が重要となります。
大学・専門学校への進学 |
|
就職 |
|
できるなら、進学の場合はオープンキャンパス、就職の場合はインターンシップなど、実際に体験してみる機会を増やすようにしましょう。
実際の体験を通じて情報収集を行うことにより、自分に合った進路かどうかを見分けやすくなるでしょう。
3. 通信制高校の進路サポートを活用する
自分のペースで学習を進められる通信制高校では、進路選択においてより主体的な行動が求められます。
そのため、多くの通信制高校では、生徒一人一人の進路実現をサポートするため、様々な支援体制を整えています。
✓通信制高校の進路サポート例
- 個別の定期面談・進路指導
- 進路ガイダンス
- 大学・専門学校の学校説明会
- 就職支援セミナー
- 志望校向け受験対策講座
- 就職試験面接対策・履歴書添削
担任の先生や進路指導教員への進路相談は早めに行いましょう。進路について深く考える中で、当初考えていた進路とは異なる選択肢に興味を持つこともあるからです。
早めに相談していれば、進路変更に必要な準備や対策を講じる時間的余裕が生まれます。
通信制高校の進路サポートを積極的に活用することで、自分の希望する進路へと進みやすくなるでしょう。
参考:進路選択・キャリアの授業(サイル学院 高等部)
ただし、支援内容は学校によって大きく異なるため、進学時には各校の進路サポート体制もしっかりと確認しておくことをおすすめします。
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
進路サポートが充実した通信制高校・サポート校5選
近年では進路サポートに力を入れている通信制高校が増えており、生徒一人ひとりの希望に沿った進路実現が可能になっています。
ここでは、特に進路サポートが充実している通信制高校・サポート校を5校厳選し、それぞれの特徴や進路支援内容を紹介します。
学校名 | 進路サポート |
サイル学院 高等部 |
|
クラーク記念国際高校 |
|
N高校・S高校・R高校 |
|
ルネサンス高校 |
|
飛鳥未来高校 |
|
【通信制高校に入学・転入したい方へ】
自分に合った進路を選べる通信制高校を探そう
通信制高校卒業後の進路は多様です。大学進学、専門学校進学、就職、留学など、さまざまな選択肢があります。
通信制高校では、個別相談や各種講座の開催、ガイダンスの実施など実践的な進路サポートが充実しています。
学校資料の請求や学校説明会などを通じて、各校の特色を比較検討しましょう。
通信制高校を探すなら【サイル学院の資料請求】がおすすめです。
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「種類が多すぎてどれを選べばいいか迷う…」
「サイル学院と他校との違いを知りたい」
などの疑問や不安は、サイル学院の資料請求で解決できます。
資料は未成年の方・生徒ご本人も請求いただけます。お気軽に請求ください。
この記事を書いた人

サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。一児の父。株式会社13歳からの進路相談 代表取締役社長。著書『13歳からの進路相談』シリーズは続々と重版され、全国の学校や市区町村の図書館で多数採用されている。
学生時代は早稲田実業学校高等部を首席で卒業し、米国へ留学。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値を基準に進路を選び後悔した経験をきっかけに、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げる。これまでに寄せられた中高生からの相談は10万件を超える。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社・才流(サイル)で勤務。
2022年に同社の子会社を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分に合った進路を選べる社会を目指し、「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。全国から入学・転校生を受け入れ、高校卒業だけではなく、その先のキャリア支援も行っている。
著書:『
13歳からの進路相談(すばる舎)』、『
13歳からの進路相談 仕事・キャリア攻略編(すばる舎)』
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