【高校生の不登校】転校で解決する?手続き・注意点を解説
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転校したら学校に通えるようになるだろうか
こんな悩みを抱えていませんか。
お子様の不登校の原因によっては、転校で解決する可能性があります。一方、転校で解決しないケースもありますので、「不登校の原因がなにか?」を明らかにすることが大切です。
進路相談のプロ
本記事では、不登校の原因別に転校が解決策になるかどうかについて進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下がお伝えします。 その他にも、転校の手続きや転校先・転校の条件についても紹介。ぜひ参考にしてください。 |
【不登校でお悩みの方へ】
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原因別|転校で不登校が解決するケース・しないケース
まずは、転校で不登校が解決するケース、解決しないケースを比べてみましょう。
転校で不登校が解決するケース
以下2点に当てはまる場合、不登校が転校で解決する可能性があります。
- 不登校の原因が学校にある
- 転校が本人の意思である
この2点について詳しく考えていきましょう。
不登校の原因が学校にある
不登校の原因が学校自体にある場合、転校は良い選択肢です。環境を変えることで問題から離れることができるからです。
以下は学校由来の代表的な不登校の原因です。
不登校につながる学校の問題
-
無気力・不安
-
生活リズムの乱れ・あそび・非行
-
いじめを除く友人関係をめぐる問題
-
入学、転編入学、進級時の不適応
出典:『令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』文部科学省
このような問題がある場合、転校で不登校が解消する可能性があります。
転校が本人の意思である
転校を決める際、本人の意思が大切です。
学校の先生や保護者も、子供の不登校を心配しているでしょう。
しかし、最終的な決定は本人が下さなければなりません。実際に高校に通うのは、お子様だからです。
新たな環境に移動するには大きなエネルギーが必要です。本人に意欲がなければ、転校が不登校の解決策にはならないでしょう。
反対に、自分の意思で「転校しよう」と思えるのであれば、転校が不登校の解決策となる可能性が高いです。
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転校で不登校が解決しないケース
転校しても学校に通えない方の中には、次のような課題を抱えていることがあります。
- 不登校の原因がはっきり分からない
- 生活リズムが崩れている
この2点について詳しく考えていきましょう。
不登校の原因がはっきり分からない
不登校の原因がはっきり分からないなら、急いで転校しないことをおすすめします。
原因が分からない時には焦らないことが大切です。
不登校の原因はひとつではありません。さまざまな要因が組み合わさり不登校になっている場合もあるのです。
例えば、家庭・本人が原因で不登校になっている方もいます。
家庭に係る状況
- 家庭の生活環境の急激な変化
- 親子の関わり方
- 家庭内の不和
本人に係る状況
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行
- 無気力・不安
出典:『令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』文部科学省
転校で解決できるのは、学校が原因の不登校です。
転校を決める前に、不登校の原因を見極めるところから始めましょう。
学校に行きたくない理由がわからない方へ。できること5つを解説
生活リズムが崩れている
生活リズムが崩れているなら、新たな高校に転校しても通学は難しいでしょう。
まずは規則正しい生活習慣を取り戻すことが大切です。
生活リズムの崩れは「怠けている」と思われることも多いですが、「起立性調節障害」を抱えている方もいます。
起立性調節障害の特徴
- 夜に目がさえてしまう
- 朝起きられない
- 午後から症状が改善してくる
- 朝に頭痛やめまい・立ちくらみがある
- 腹痛、食欲不振などの症状がある
- 気分が悪くなったり失神することもある
起立性調節障害は思春期に起こりやすく、東京都医師会によると、不登校生徒の約3~4割は起立性調節障害を発症しています。
起立性調節障害は、医師から生活習慣のアドバイスを受けることで徐々に改善します。
生活リズムが崩れていることで悩んでいるなら医療機関に相談することもおすすめです。
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転校以外の選択肢もある
転校は不登校の解決になることも、ならないこともあります。
また、転校が不登校の解決策だとしても、本人にとってふさわしいタイミングでなければ転校は成功しません。
そこで、転校以外の不登校を解決する方法も知っておきましょう。
別室登校
転校せずに今の高校で別室登校している方もいます。
別室登校とは、教室ではない別の部屋(保健室・相談室・図書館など)で自習などを進めて徐々に登校できるようにする方法です。
特に教室に入れなかったり、集団生活に大きなストレスを感じていたりする不登校の生徒に適しています。
無理のないペースで登校することで、生活リズムを整えつつ、卒業に必要な出席日数を満たせる可能性があります。
お子様が別室登校を希望する場合、担任や学校に相談してみましょう。
フリースクール
フリースクールとは、学校以外の居場所となる施設のことです。
フリースクールには、不登校の生徒が集まるので、理解しあえる友達ができるかもしれません。
また、勉強も見てもらうことができ、生活リズムを整えることもできます。
ただし、民間の施設なので費用がかかります。
専門家への相談
不登校の原因が分からない場合や、不登校の改善方法を知りたい場合は、専門的な知識を持つ大人に相談してみると良いでしょう。
スクールカウンセラー
「学校外部の専門家」であるスクールカウンセラーには、先生や学校関係者には言いづらい悩みも相談できるメリットがあります。
自費で相談に行かなくても学校で専門家に相談できるので、メンタルの悩みを話すハードルが下がるのも良いところです。
高校に常勤の専門家がいなくても、必要に応じてスクールカウンセラーが派遣される可能性があります。高校に尋ねてみましょう。
ひきこもり支援センター
ひきこもり支援センターは不登校問題をどこに相談してよいか分からない場合に、最初に訪れると良い場所です。
必要な場合は医療機関や不登校支援の施設を紹介してくれます。
地域により取り組みに差がありますが、不登校生徒の家庭訪問や、不登校経験者に相談できる機会もあります。
無料で利用できる点も魅力です。
【不登校でお悩みの方へ】
不登校の方が選べる転校先|転校条件や選び方は?
高校の転校には、これまで修得した単位や在籍日数を引き継いで転校できるメリットがあります。
しかし、転校するにはいくつかの条件があります。
転校先により応募資格・難易度が異なるので、あらかじめ情報を集めましょう。
不登校に対応した転校先
不登校の方が転校したい場合の選択肢は3つあります。
- 全日制高校
- 定時制高校
- 通信制高校
それぞれの転校先の条件・難易度を比較します。
全日制高校と定時制高校の条件はそれほど変わりませんのでまとめて解説します。
全日制・定時制高校の転校条件
全日制・定時制高校に転校したい場合、以下の条件を満たしている必要があります。
条件1:引っ越しなど、やむを得ない理由がある
全日制・定時制高校への転校は、県外への引っ越しなどのやむを得ない事情が必要です。また、不登校やいじめによる転校が認められることもあります。
条件2:転校したい高校に欠員がある
転校先に欠員がなければ転校できません。転校生の募集情報を調べましょう。
条件3:転校試験に合格する
転校試験の合格が必須です。試験の難易度は高校の偏差値に準じます。
ただし、定時制高校は偏差値がなく、試験も簡単なことが多いです。
転校したい全日制・定時制高校の条件・欠員状況・試験・転校可能時期は、以下の機関から情報を集めてください。
転校に関する問い合わせ先
- 公立高校:教育委員会(東京都教育委員会など)
- 私立高校:都道府県私学協会(東京私立中学高等学校協会など)
全日制高校へ転校したい!公立・私立の転校手続きや疑問点を解説
通信制高校の転校条件
全日制・定時制高校の転校条件は厳しいため不安になる方もいるでしょう。
特に全日制高校の場合、不登校を理由にした転校を受け入れてもらえる保証はありません。
しかし、心配しないでください。
通信制高校には転校しやすい学校が多いのです。
通信制高校に転校しやすい理由
- 全国どこからでも入学可能(広域通信制高校のみ)
- 毎月転校生を募集
- 転校試験がない(書類審査・面接のみ)
通信制高校は入学者のうち、年度途中で入学する人(転入・編入)の割合が高い特徴があります。
学校基本調査によると、令和1年度には通信制高校に通う全体の28.9%の生徒が、転校・高校中退後に再入学しています。
不登校生徒の方でも転校しやすい選択肢として、通信制高校もおすすめです。
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【不登校でお悩みの方へ】
不登校に対応した転校先の選び方
転校で不登校を解決するには、子供に合っている高校を選ぶことが大切です。
そのため、転校先を選ぶ際には広く情報を集めましょう。
- SNSで在校生の投稿を見る
- 資料請求をする
- 学校見学会に足を運ぶ
- 転校したい高校の先生と話してみる
実際に転校したい高校を訪れると、学校の雰囲気や通学ルートなどが分かります。
先生がどのように生徒に対応しているかも観察しましょう。転校したい高校の不登校生徒へのサポート態勢も確かめておきたいですね。
一番大切なのは、本人が「この高校なら通ってみたい」と思える高校を選ぶことです。
高校の転校手続き 6ステップ
転校の意思が固まったら、下記のステップで転校手続きを進めましょう。
- 転校先を探す
- 現在の高校に転校の意思を伝える
- 志望校に単位照合を依頼
- 現在の高校に必要書類を依頼
- 志望校に出願
- 合格したら入学手続きを行う
各ステップごとに簡単に解説します。
高校を転校したいけど何をすればいい?転校の条件や手続きを解説
ステップ1. 転校先を探す
まずは、本人が通いたいと思える高校を探していきます。
公立高校の場合は、以下の方法で募集がないか調べられます。
公立高校の探し方
- 都道府県教育委員会のHP上から探す
- 現在の高校の進路指導担当の先生に聞く
- 志望校がすでに絞れている場合は、直接問い合わせる
私立の場合、都道府県私学協会や志望校に連絡することで募集の有無を確認できます。
ステップ2. 現在の高校に転校の意思を伝える
志望校が決まったら、在学中の高校に転校の意思を伝えます。
この際、本人の中で転校したい理由、志望校を選んだ理由などが明確であることが大切です。
理由が不明瞭だと一時の気の迷いだと思われ、転校に反対されるかもしれないからです。
ステップ1の段階で本人の意志を尊重しつつ、きちんと理由が伝えられるようにサポートしましょう。
ステップ3. 志望校に単位照合を依頼
出願前に志望校へ「単位照合」を依頼します。
単位照合とは、すでに修得している単位と志望校のカリキュラムを照合し、志望校で卒業に必要な単位が取れるか確認することです。
照合の結果、卒業に必要な単位であることが認められれば出願が可能となります。
ステップ4. 現在の高校に必要書類を依頼
以下のような出願書類を現在の高校に依頼します。
必要書類の例
- 転学照会書
- 在籍証明書
- 単位修得証明書 他
書類の作成には時間がかかる可能性があります。出願時期から逆算し、余裕を持って作成してもらえるよう計画的に依頼しましょう。
ステップ5. 志望校に出願書類を提出
以下のような書類が必要になります。
出願書類の例
- 入学願書
- 住所の証明書(住居の契約書の写しなど)
- ステップ4で作成してもらった書類
入学要項を確認し、書類に漏れがないようにしましょう。
ステップ6. 合格したら入学手続きを行う
試験に合格したら、入学案内に従って手続きを進めましょう。
また、本項で紹介したステップは基本的な手続きのため、志望校や在籍校によって異なる点もあります。
実際の手続きについては、必ず学校側に確認しましょう。
【不登校でお悩みの方へ】
不登校の転校に通信制高校がおすすめの理由
子供に合った高校に転校できれば、再び学校に通えるようになるかもしれません。
一方、転校に不安を感じるかもしれません。
- 毎日登校できるだろうか
- 集団生活になじめるだろうか
- 学習ペースについていけるだろうか
そこで、不登校の方におすすめなのが通信制高校への転校です。
通信制高校には年度の途中から転入・編入してくる生徒が多く、学校側も転校生の受け入れに積極的です。
また、通信制高校には過去に不登校だった方が多く在籍しています。
不登校経験がある生徒割合
- 狭域通信制高校:48.9%
- 広域通信制高校:66.7%
出典:『定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究』文部科学省
ここでは、転校先に通信制高校をおすすめする理由を2つ取り上げます。
毎日通学しなくてよい
通信制高校は単位制の学校が多く、高校卒業までに必要な単位(74単位以上)を修得すれば高卒資格を得られます。
学年制の全日制高校とは異なり、出席日数の不足で留年することがないのです。
そのため、体調や事情に合わせて時間割を組んで、自分のペースで学ぶことができます。
スクーリング(通学)の方法は通信制高校によって違います。自分にあったスクーリングの方法かどうか、志望校に問い合わせてみましょう。
サイル学院高等部の例
-
登校日は年1回から週5日まで、通学もオンラインも選べる学び方
毎日通学するのが大変という方は、スクーリングの頻度が少ない通信制高校に転校することで、通学する負担が減ります。
毎日、登校しなければいけないというプレッシャーがなくなるため、不登校の方でも無理せず高卒資格を取得できるのが通信制高校のメリットです。
「いまは、自分の好きな勉強を、好きなだけできるので楽しい」自分の好きなようにスケジュールを決める生徒事例
人間関係の悩みを抱えづらい
通信制高校では、生徒が自分で時間割を組んだり、登校スケジュールを選んだりするため定期的に同じ人たちと顔を合わせる機会が減ります。
ホームルームやクラスがない通信制高校もあります。そのため、集団生活の負担が少ないのも特徴です。
もちろん、全く人間関係がないわけではありません。
友達を作りたいと思うなら、学校祭などのイベントや、部活動やサークルなどの課外活動にも参加できます。
通信制高校の課外活動は自由参加型が多いので、負担にならない範囲で交友を広げられます。
不登校でお悩みの方へ
学校という環境を変えることで不登校を解決できる場合も多いです。自分に合った転校先を見つければ、新たな環境で学校生活を楽しめるようになるかもしれません。
ただし、不登校を解消する秘訣は原因を見極めること。不登校を引き起こす要因になっている学校・家庭・お子様の状況を分析することが大切です。
焦らず、より良い選択肢をお子様と一緒に探していきましょう。
【不登校でお悩みの方へ】
この記事を書いた人
サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。1児の父。学生時代は早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は10万件以上。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社の才流(サイル)で勤務。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。2023年、同校の中等部を創立。著書「
13歳からの進路相談」(すばる舎)。進路選択をテーマにした講演・イベントの登壇実績多数。
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