高校留年でも「人生終わり」ではない3つの理由|留年後の進路も解説
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「高校を留年したら人生終わりだ」
このように悩んでいませんか。
確かに留年すると、同級生と比較して卒業・進学・就職のタイミングがズレるので「将来に影響がある」と不安に感じるでしょう。
しかし、留年をしてもその後の行動次第で将来の可能性を広げることはできます。
進路相談のプロ
本記事では、「高校留年したら人生終わりだ」と悩んでいる方へ、進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下が、高校を留年しても人生が終わりではない理由と、留年後の進路を解説します。 |
【高校を留年した方・しそうな方へ】
高校を留年しても「人生終わり」ではない3つの理由
留年する高校生のなかには、「人生終わりだ」と感じる方もいるでしょう。
しかし、高校を留年しても希望の進路に進むことは可能です。
ここでは、高校を留年しても「人生終わり」ではない3つの理由を解説します。
1. 翌年度以降に高校を卒業できるから
「留年をしたら人生が終わる」と考えている方の多くは、「留年したら卒業も危ういのでは」と考えているのではないでしょうか。
確かに留年をしたら学業へのモチベーションが下がってしまうかもしれません。しかし、翌年度以降もコツコツと努力を続ければ、卒業はできます。
高校を留年しても、最終的に74単位以上を修得できれば卒業はできます。
ただし、高校を留年(=原級留置)した段階で中退を選択する人は多いのも事実です。
「30.1%の者が進級できなかったこと(原級留置)があると答えており,この中で原級留置が中途退学の原因になっていると回答した者は73.4%に上る。」
留年するとしたら、成績の低下や出席日数などの明確な理由があるはずです。
高校を留年した理由を分析して、現状を改善しなければ、留年を繰り返してしまう可能性もあります。
確実に高校を卒業したいと思っているなら、先生に相談して進級するためにすべきことを教えてもらうようにしましょう。
また万が一、留年後に高校を中退したとしても、そこで将来の可能性が極端に小さくなるわけではありません。
内閣府の統計(*1)によると、高校を中退した方の8割が就職・転学しているのです。
中退後の進路については以下の記事で詳しく解説しましたのでご覧ください。
2. 就職できるから
「高校を留年したら就職活動で企業に採用してもらえないかもしれない」と悲観する方もいるかもしれません。
しかし、高卒者の就職率が97.9%(*1)と高いことを加味すると、「留年したから就職できない」という状況は考えづらいです。
就職できなかった2.1%の生徒の状況は明らかではありませんが、全員が留年をした生徒ではないでしょう。
大切なのは、就職の際に企業から求められる力があるかどうかです。
厚生労働省の調査(*2)では、企業が高卒段階の若者を採用する際に重視する能力は、以下の点でした。
- コミュニケーション能力
- 基礎学力
- 責任感
- 積極性・外向性
- ビジネスマナー
- 行動力・実行力
- 資格取得
在学中に企業が求めるスキルを磨ければ、たとえ留年をしても就職で困る可能性は少ないはずです。
*1 文部科学省 令和4年3月高等学校卒業者の就職状況(令和4年3月末現在)に関する調査について
*2 厚生労働省 「若年者の就職能力に関する実態調査」(平成16年1月29日)
3. 進学できるから
高校を留年すると進学できないので、「人生は終わり」だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、高校を留年しても進学の道が閉ざされるわけではありません。
翌年度以降に高校を卒業すれば、大学の受験資格を得られるからです。
仮に、高校を中退しても、以下の方法で大学進学が可能です。
- 高卒認定試験を受ける
- 大学進学に強い通信制高校に編入する
- 高等専修学校を卒業する
- 外国の大学に進学する
- 通信制大学の特修生になる
ただし、総合型選抜や学校推薦型選抜で進学したいと思っているなら注意が必要です。
これらの選抜方法は、一定以上の教科の評定平均が求められるため、成績の低下が原因で留年した方は不利になる可能性があるからです。
また、推薦入試の場合は校長による推薦が必要です。留年すると学校での活動や態度などに関して高い評価を得られない可能性があります。
そのため、高校留年後に大学進学を目指すなら、一般入試を突破するための学力向上に取り組むことや、途中入学でも指定校推薦を得られやすい通信制高校に転校するなどの具体的な対策が必要になるでしょう。
【高校を留年した方・しそうな方へ】
高校留年でも人生を終わりにしない4つの進路
次に高校を留年した際に選びうる進路を4つ解説します。
1. 今の高校で同じ学年をやり直す
高校留年後に、今の高校で同じ学年をやり直せます。
同じ高校で卒業できるので、転校や退学の手続きが不要なのがメリットです。
しかし、この方法には、以下のようなデメリットもあります。
- 下級生と同学年になるストレス
- その学年の全ての単位を修得し直す必要がある
- 出席日数が満たせず再留年する可能性がある
今の高校で留年した理由を分析して、現状を改善しなければ、再び留年したり中退したりする可能性があります。
翌年度は確実に進級できるよう、留年の基準を理解しましょう。
高校を留年する2つの基準|留年の救済措置や留年後の選択肢も解説
2. 高校を中退して就職する
高校を中退して就職するのも、高校留年後の進路となります。
内閣府の調査(*1)によれば、高校中退者のうち17.1%が正社員・正職員として働いています。
17.1%というと少なく感じるかもしれません。しかし、同調査では「中退段階で正社員として働くつもりだった」人が11.1%となっています。
つまり、「正社員・正職員として働く」という意志があれば、中卒でも正社員として就職できることを裏付けています。
とはいえ、高校を中退して就職活動する場合、高卒・大卒資格を持つ人と比べて応募できる職種が限られます。
同調査では、「中退後、高卒の資格は必要だと考えた」割合は78.4%に及んでいるので、高校を中退する前に、転校を含めいくつかの選択肢を検討しましょう。
高校中退後の選択肢については以下の記事をご覧ください。
3. 高卒認定資格を取得して大学進学を目指す
高校留年後に「高等学校卒業程度認定試験」に合格すれば、大学進学できます。
この試験自体は例年20,000人程度が受験し、8,000人程度が合格(合格率40%程度)しています。
これまで学習してきた成果をもとに、試験科目を免除できる場合もあるので、詳しくは文部科学省のホームページやパンフレットを確認しましょう。
参考:令和6年度 高等学校卒業程度認定試験 パンフレット一般用
ただし、高卒認定資格は、高校を卒業した証である「高卒資格」とは異なるので、大学進学しない場合は「中卒」のままであることに注意しましょう。
4. 留年がない通信制高校に転校する
留年をして同じ学校に留まるより、心機一転、別の環境で高校卒業を目指すという選択肢もあります。
特に全日制高校の生活が合わなかった方の場合は、通信制高校を検討してみましょう。
通信制高校の特徴(サイル学院の例)
- 全国どこからでも、いつからでも転校・再入学できる
- オンラインでの自宅学習が中心・自分のペースで通学できるできるので出席日数に悩まなくてよい
- リアルでの登校日は年1回のみ(沖縄での1週間スクーリング)
- 個別指導・オーダーメイドのカリキュラムが組まれるので学力が不安でも安心
- 全日制とは異なり生徒の年齢層が多様なので年齢が気になりづらい
学年ごとに全日制から通信制へ転校する際の手順や注意点などを解説していますので、以下を参考にしてください。
【高校を留年した方・しそうな方へ】
高校を留年した方、高校を留年しそうな方へ
高校を留年すると、進路の選択肢が見えづらくなり、人生が終わりのように感じることもあるかもしれません。
しかし、実際には留年後に選べる進路は多いです。本人の意志さえあれば、高校卒業から就職、進学まで希望の進路に進むことが可能です。
特に、通信制高校への転校は、デメリットが少なく、新しい環境で学校生活を再スタートできるきっかけになるでしょう。
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【高校を留年した方・しそうな方へ】
この記事を書いた人
サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。1児の父。学生時代は早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は10万件以上。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社の才流(サイル)で勤務。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。2023年、同校の中等部を創立。著書「
13歳からの進路相談」(すばる舎)。進路選択をテーマにした講演・イベントの登壇実績多数。
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