通信制高校への転入手続き5ステップ|メリットや注意点も解説
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「通信制高校への転入ってどうすればいいの?」
このように悩んでいませんか?
通信制高校への転入する際、現在の高校での単位修得状況や、卒業時期の希望によっては、注意すべき点があります。
進路相談のプロ
本記事では、通信制高校の転入を考えている高校生の方へ、進路相談のプロ(書籍「13歳からの進路相談」著者)であり、通信制のサイル学院高等部 学院長の松下が、転入手続きの流れからメリット・デメリット、注意点までをわかりやすく解説します。 |
【通信制高校に転入したい方へ】
通信制高校転入の手続き|準備から入学までの流れ
通信制高校に転入するためには、各段階での準備を入念に行い、必要書類の準備や手続きの期限などにも注意を払う必要があります。
ここでは、転入を決意してから入学するまでの流れを5つのステップで分かりやすく解説します。
1. 情報収集
まずは、自分に合った通信制高校を見つけましょう。
全国にたくさんの通信制高校があります。自分の興味や学習スタイルに合った学校を見つけることが大切です。
情報を集める際には、以下の点を確認しましょう。
- 転入条件や受け入れ時期
- 学習システムやカリキュラム
- 学習・生活面のサポート体制
- 学費(入学金や教材費など)
- スクーリングの頻度や場所
- 卒業後の進路状況
複数の学校の情報を集め、比較検討してください。学校見学や個別相談会に参加することで、より具体的な情報を得ることができます。
気になる点は、直接学校に問い合わせましょう。学費や就学支援金の利用についても、この段階で確認することが重要です。
2. 現在の高校での準備
通信制高校が決まったら、手続きを進めます。
必要書類は、現在の高校から発行してもらう必要があります。書類は転入先によって異なる場合があるので、早めに確認しましょう。
✔必要書類の例
- 在籍証明書
- 成績証明書
- 単位修得証明書
- 転学照会書
書類発行には時間がかかることがあるため、余裕を持って申請しましょう。
願書提出の期限に間に合うように、逆算して手続きを進めてください。
3. 出願手続き
次に、通信制高校の願書を入手しましょう。
ホームページから願書をダウンロードできる学校もあります。
高校に直接電話やメールで問い合わせて、願書を請求する方法もあります。郵送で送られてくる場合が多いので、時間に余裕を持って請求しましょう。
願書には志望動機や将来の目標などを記入する欄があるため、自分の考えをしっかりとまとめておく必要があります。
証明写真や受験料の振込証明書なども忘れずに。出願書類は返送用封筒が用意されていることが多いため、それを使用して提出します。
提出期限には十分注意し、余裕を持って発送してください。郵送の場合は、書留など配達記録が残る方法を選択すると安心です。
4. 入学試験・面接
公立の通信制高校では、転入時に学力試験を実施することが多いです。
例えば、都立高校の通信制では、国語、数学、英語の学力試験と、面接が行われます。
私立通信制高校では、主に面接と書類選考が中心です。
面接の前には、よく聞かれる質問に対する答えを準備しておきましょう。
✓面接で聞かれる質問の例
- なぜこの学校を選んだのか
- どのように学習を進めたいか
- 転入を希望する理由
- 将来の目標や進路
- 自分の長所や短所、特技など
志望する通信制高校の特色や教育方針などを事前に理解するようにしてください。
高校生活や学習内容について、質問があれば積極的に聞いてみましょう。
5. 入学手続き
合格通知を受け取ったら、指定された期間内に入学手続きを完了させましょう。就学支援金の申請手続きもこの時期に行います。
入学金の納入期限は厳守してください。期限を過ぎると入学許可が取り消される場合もあるので注意が必要です。
多くの通信制高校では、入学前に説明会を実施しています。
入学説明会では、以下の様な内容が説明されます。
- オリエンテーション:学校生活全般についての説明(学習方法、スクーリング、レポート提出など)
- 教材の受け取り: 教科書や学習教材の受け取り
- 諸手続き: 学生証の発行、保険加入、その他必要な手続き
通信制高校では、自分から積極的に学校と関わることが大切です。入学説明会でわからないことがあれば、その場で先生に質問して解消しましょう。
通信制高校に転入するメリット8選
ここでは、通信制高校に転入するメリットを8つご紹介します。
それぞれの特徴を理解することで、転入を検討する際の参考にしてください。
1. 転入しやすい(学力試験なしの学校が多い)
通信制高校の入学試験は、多くの学校で書類選考、面接のみです。
✓サイル学院 高等部の例
- Web出願(オンライン入力)
- 入学面談はオンライン
- 出願から合否連絡まで約1週間
通信制高校では、それぞれの生徒が自分のペースで学習を進め、目標を達成することを目指します。
そのため、入学時点での学力よりも、「高校を卒業したい」「学びたい」という強い気持ちを持っているかどうかが重要視されるのです。
ただし、全ての通信制高校で学力試験が免除されるわけではありません。
中には、入学資格として一定の学力を求める学校や、選考基準に学力試験を含む学校もあります。
興味のある通信制高校があれば、必ずホームページや資料で入学要項を確認するようにしましょう。
2. 転入時期が柔軟
通信制高校は、全日制高校に比べて転入時期が柔軟であることも大きなメリットです。
全日制高校の場合、転入できる時期は原則として 新学期(4月)に限られています。
年度途中での転入は、特別な事情がない限り認められないことが多いです。
一方、通信制高校では、年間を通して転入を受け付けている学校が多く、中には毎月入学が可能な学校もあります。
✓転入時期が柔軟であることのメリット
- 自分のタイミングで転校できる
- 学習の遅れを最小限に抑えられる
病気や怪我、家庭の事情などで、全日制高校に通えなくなった場合でも、自分の状況に合わせて転入することができます。
ただし、卒業時期との関係もあるので、転入のタイミングは慎重に検討しましょう。
3. 中退にならずに転校できる
高校を辞める場合は「退学」となり中退扱いになります。
しかし、通信制高校への転入の場合は、前の学校を退学することなく新しい学校に移ることができます。
✓中退にならずに転校できるメリット
- 履歴書に「中退」と書く必要がない
- 高校卒業すれば進学・就職の選択肢が広がる
- 中退という心理的な負担を抱えずに済む
なお、一度退学してから入学し直す「編入」の場合は中退扱いとなるため、できるだけ転入での入学を検討しましょう。
高校中退を避けて、通信制高校に転入する具体的な方法は以下の記事からご覧ください。
高校をやめたいときに考えるポイント。高校中退したらどうなる?
4. 自分のペースで学習を進められる
通信制高校の大きな特徴は、自分のペースで学習を進められること。
レポート学習、スクーリング、オンライン学習などを組み合わせて、自分のライフスタイルに合った学習計画を立てることができます。
✓自分のペースで学習を進めるメリット
- 得意な科目はどんどん進められる
- 苦手な科目はじっくり時間をかけられる
- 通学時間が少ないため余裕が生まれる
- 空いた時間を有効活用できる
通信制高校では、学習内容も基礎的な部分を重視しているため、学習に不安がある生徒でも無理なく取り組めます。
また、先生やカウンセラーが学習計画や進路についてサポートしてくれるので、安心して学習を進められるのもメリットです。
5. これまでの単位を無駄にせず卒業を目指せる
通信制高校への転入では、全日制で修得した単位を引き継ぐことができます。
例えば、高校2年生で50単位程度を修得している場合、通信制高校では残り24単位程度を修得すれば卒業要件(74単位)を満たせます。
全日制高校では1年間で約30単位を修得するのが一般的ですが、通信制高校では自分のペースで単位を修得していけるため、効率的に学習を進めることも可能です。
また、多くの通信制高校では転入後の単位修得サポートも充実しています。
- 短期間で集中的に単位を取得できるカリキュラム編成
- 高卒認定試験の合格科目を単位として認定
- 前籍校の学習進度に合わせた履修計画の提案
- レポートやスクーリングの柔軟な実施
転入時期を適切に選べば、同級生と同じ時期に卒業することも可能です。
ただし、年度途中の転入の場合は現在履修中の科目の単位は引き継げない場合があるので、単位認定のタイミングを確認しましょう。
6. 人間関係のストレスから解放される
通信制高校への転入により、従来の学校生活で感じていた人間関係の負担から解放されることも大きなメリットです。
スクーリング(面接指導)は月に数回程度で、それ以外は自宅での学習が中心。
例えば、オンライン個別指導の通信制「サイル学院 高等部」なら、通学は年1回のみです。
毎日の人間関係に気を遣う必要がなく、精神的な余裕を持って学習に取り組むことができます。
ただし、通信制高校では人間関係が全くないわけではありません。
自然な形での交流の機会が用意されているため、自分のペースで無理のない人間関係を築いていくことができます。
- 学校行事やイベントへの自由参加
- オンラインでのコミュニケーション
- 少人数制の授業やグループ学習
- サークル活動・課外活動
生徒一人ひとりの状況を理解し、必要に応じて友達作りのサポートをしてくれる学校も少なくありません。
7. 充実したサポート体制が整っている
通信制高校では、生徒一人ひとりの状況に応じた手厚いサポート体制が整っています。
サポート | 特徴 |
学習 |
理解度に合わせた個別指導 基礎からの学び直し |
生活 | 学習計画の作成支援 生活リズムの改善アドバイス 時間管理指導 学校生活に関する相談窓口 保護者向け説明会や相談会 ICTツールの活用支援 |
進路 | 進路カウンセリング 大学受験対策講座 指定校推薦枠の活用 就職活動のサポート 資格取得支援 キャリア教育プログラム |
メンタル | スクールカウンセラーなどの専門家による心理支援 担任との定期的な面談 保護者との連携体制 段階的な登校プログラム |
学校によってサポート内容は異なるので、転入を検討する際は、自分に必要なサポートが受けられるかどうかを確認してください。
8. 費用面でも安心
通信制高校は、全日制高校と比較して学費が大幅に安いのが大きな特徴です。
特に、公立の通信制高校では、費用が非常に抑えられています。
✓都立高校(通信制)の学費
- 入学考査料:950円
- 入学金:500円
- 受講料:1単位あたり336円
私立の通信制高校でも、全日制と比べると費用は抑えられています。
個別サポートの通信制「サイル学院 高等部」では、月あたりの学費が29,800円です。
また、制服代が不要だったり、スクーリングの回数が少ないため交通費を削減できたりするのも通信制のメリットと言えるでしょう。
通信制高校でも高等学校就学支援金制度を利用でき、家庭の経済状況に応じて学費負担を軽減することが可能。
私立の通信制であれば、最大29万7,000円が支給されます。(*)
高等学校就学支援金制度について知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
転入前に知っておくべき注意点5選
通信制高校への転入には、いくつかの重要な注意点があります。
ここでは、転入前に知っておくべき5つのポイントを解説します。
1. 入学時期によって卒業時期が変わる可能性がある
通信制高校の転入では、入学時期によって卒業時期が変わる可能性があります。
通信制高校を卒業するためには、以下の要件を満たすことが求められます。
- 在籍期間:3年以上の在籍(前の学校での在籍期間も含む)
- 単位数:74単位以上
- 特別活動:30単位以上(学校行事やホームルームなど)
最低在籍期間を設けている通信制高校では、その期間を満たすまで卒業できません。
特に、高3で転入する場合は、在籍期間が不足して卒業が遅れる可能性があるので注意が必要です。
また、単位の修得状況によっても卒業時期が変わってきます。
年間で修得できる単位数には上限があるため、残りの必要単位数と在学可能期間を考慮して転入時期を決めなければなりません。
同級生と同じ時期に卒業したい場合は、転入時期を慎重に選びましょう。
2. 単位の引き継ぎには条件がある
通信制高校に転入する際、以前の高校で取得した単位を引き継ぎたいと考える人は多いでしょう。
しかし、すべての単位が自動的に引き継げるわけではありません。
全日制高校の場合、基本的に単位認定は年度末に行われるため、年度の途中で転入すると、その年度に履修中の科目の単位は引き継げない可能性が高くなります。
例えば、高2の途中で転入する場合、高1に修得した単位は引き継げますが、2年次に履修中の科目の単位は認定されないことがあります。
学年別の転入に関する注意点は、以下の記事を参考にしてください。
高1で通信制高校へ転入できる?魅力や注意点、具体的手続き等を解説
高3から通信制高校の転入は遅い?転入条件や必要な手続きを解説
また、学校によって認定できる単位の範囲が異なることもあります。
転入前に履修していた科目と、転入先の通信制高校で開講されている科目が異なる場合は、単位が認定されない可能性が高くなります。
専門科目や学校独自の科目については、引き継ぎが難しい場合もあるので、事前に確認しましょう。
3. 転入可能な時期は学校によって違う
通信制高校の転入可能時期は、学校によって異なります。公立の通信制高校では、主に4月と10月の年2回が転入時期です。
一方、私立の通信制高校では、毎月1日付けでの転入を受け付けている学校や、随時転入を認めている学校も多いです。
学校名 |
転入時期 |
サイル学院 高等部 |
随時(いつでも)可能 |
N高グループ(ネットコース) |
毎月1日が基本 高1、高2の最終転入受け入れ月は1月 高3の最終転入受け入れ月は12月 |
ヒューマンキャンパス高校 |
毎月1日が基本 4月~12月まで受け入れ |
ID学園高校 |
毎月1日付けで転入可能(3月を除く) |
ただし、編入(一度退学してから入学し直すこと)の場合は、時期が限定されていることが多いので注意が必要です。
転入を考えている学校の募集要項やホームページで、受け入れ可能な時期を必ず確認しましょう。
4. 居住地域による制限がある場合も
通信制高校に転入する場合には、入学できる地域に制限がないか確認しましょう。
生徒への個別指導や面談を重視する学校では、生徒が通学しやすい範囲に居住していることを条件としている場合があります。
公立の通信制や、一部の私立などの「狭域通信制」は、その学校がある都道府県内に住所があることが入学の条件となることが多いです。
一方、私立通信制高校の多くは、「広域通信制」として、全国または複数の都道府県から生徒を受け入れています。
学校名 |
入学可能地域 |
京都長尾谷高校 |
京都府、滋賀県 |
開智高校 |
埼玉県、東京都 |
勇志国際高校 |
千葉県、福岡県、熊本県、宮崎県、大分県 |
あずさ第一高校 |
東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県 |
サイル学院高等部 |
全国47都道府県 |
広域通信制の学校を選ぶ場合は、通学可能な範囲にスクーリング会場があるかどうかも、学校選びの重要なポイントです。
サイル学院 高等部のように、通学は年1回、授業はオンラインで個別指導を受けられる通信制高校もあります。
5. 学費・諸経費の確認は慎重に
通信制高校に転入する際には、学費と諸経費について確認することが大切です。
✓通信制高校の学費内訳の例
- 入学金
- 授業料
- 施設設備費
- 教材費
- スクーリング費
通信制高校の授業料は単位数によって計算されるため, 必要な単位数によって総額が変わってきます。
また、後期からの転入では入学金や施設設備費が半額になる場合もあります。
学校説明会やオープンキャンパスで費用について質問することも可能。
就学支援金制度を利用できる可能性もありますが、申請時期や支給条件なども確認が必要です。
通信制高校の学費を比較したい場合は、以下の記事をご覧ください。
学費が安い私立の通信制高校ランキング20校|学費を抑える方法も解説
通信制高校の学費は高い?公立・私立の費用比較|学費を抑える制度も解説
早めに準備して通信制高校への転入を成功させよう
通信制高校への転入は、早めの準備と計画が成功のカギとなります。
現在の学校の単位修得状況や、転入先の学校のカリキュラム、卒業時期の希望などを考慮し、最適な転入時期を選びましょう。
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【通信制高校に転入したい方へ】
この記事を書いた人
サイル学院中等部・高等部 学院長
1993年生まれ。1児の父。学生時代は早稲田実業学校高等部を首席卒業。米国留学後、早稲田大学政治経済学部を卒業。やりたいことではなく偏差値で進路を選び後悔した経験から、大学在学中に受験相談サービスを立ち上げ。中高生からの相談数は10万件以上。大学卒業後は教育系上場企業とコンサルティング会社の才流(サイル)で勤務。
2022年、同社の子会社として株式会社サイルビジネス学院を設立し、代表取締役に就任。一人ひとりが自分にあった進路を選べる社会を目指して「
サイル学院高等部(通信制)」を創立。2023年、同校の中等部を創立。著書「
13歳からの進路相談」(すばる舎)。進路選択をテーマにした講演・イベントの登壇実績多数。
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